教会音楽家の久米小百合さんがマザー・テレサの言葉や聖書などをチェロの演奏と共に朗読する、イースター朗読ライブ「マザー・テレサの世界」が17日、東京・新宿のウェスレアン・ホーリネス教団淀橋教会で開催された。昨年に続き2回目の開催で、今年はライブの収益全額をハイチ地震の被災者へ送るチャリティーライブとして行われた。当日朝は東京都心では観測史上稀に見る「遅い雪」に見舞われる寒さであったが、ライブ時には晴れ上がり、約70人が参加した。
「大切なのはいくつあげたのかということではなく、愛を持って与えることです。」
「初めのころ、私は人を改心させなければならないと思っていました。そうこうするうちに、私の使命は愛することだとわかりました。そして、愛は望むときに改心させてくれるのだ、ということがわかったのです。」
「特別なことを求めないようにしましょう。大切なのは自ら与えるということです。何をするときも愛が大切なのです。」
ライブで朗読されたのは、『マザー・テレサ 100の言葉』『マザー・テレサ 愛のことば』(いずれも女子パウロ会出版)に収められたマザー・テレサの言葉と聖書。朗読の合間にはチェリストの井上とも子さんによるチェロ演奏が入り、参加者は陽の光が差す午後のチャペルで、「音」と「言葉」が静かに共存するひと時を味わった。
朗読ライブは、昨年春にヨーロッパの教会を訪れる機会を得た久米さんが、訪問した各教会で共通して体験した「一つの感動」から始まった。久米さんが訪れたのは、英国のセント・ポール大聖堂やフランスのノートルダム寺院のほか、プロテスタントからカトリックまでの大小様々な教会。しかし、どこの教会でもオルガンが鳴り響き、神父や牧師、あるいはシスターが聖書の朗読をしたり、祈りをささげている空間に出会った。
そこにあるのは、オルガンによる「音」と、聖書の朗読や祈りなどの「言葉」だけという飾り気のないものだったが、教会の椅子に腰を下ろし、その空間に身を寄せるだけで「本当に豊かな時間を過ごさせていただいた」という。「ぜひこのようなことを東京でもやらせていただきたい」と思い、朗読ライブのきっかけとなった。
季節外れの雪の影響も不安視されたが、参加者は昨年の倍以上。「今日は神様が本当に整えてくださったと思って感謝しています」と久米さん。リハーサル時にはマザー・テレサの言葉に感動して涙が出てしまうこともあったが、「泣かないで読むことが課題でしたが、ちゃんと読めてホッとしています」とライブを無事終えての感想を語った。