青森県弘前市の東奥義塾高校を運営する学校法人東奥義塾(佐々木清美理事長)は30日までに、任期を3年残して13日付で同校の塾長を解任した江原有輝子氏(50)の後任として、同校卒業生で元中学校長の八嶋成一氏(62)を選出した。同校の礼拝行事を担当する日本基督教団の牧師11人は、理由不明なまま江原氏を突然解任したのは「大変な暴挙。建学の精神に反する」として、22日付で抗議文を提出。佐々木理事長に辞任を求めている。
同法人は、2012年に迎える同校創立140周年に向けての学校改革の一環として昨年1月、それまで理事会で決めていた塾長を一般から公募。江原氏は、全国からの応募者19人の中から選ばれ、昨年4月、同校初の女性塾長に就任した。今回の解任通知を受けて江原氏は、「納得できない。理事会からの説明も全くない」として、弁護士を通して同校に説明を求める考えを示している。
16日付の河北新報によると、解任理由について佐々木理事長は、「学校運営に対する考え方のギャップが埋まらなかった」と説明。任期途中の解任については、「任命権者として責任を痛感している」と話している。
江原氏は早稲田大学第一文学部を卒業後、お茶の水女子大学大学院修士、博士課程を修了。国際交流基金派遣日本語教育専門家として、ドイツなど4カ国で日本語指導に携わっていた。
後任の八嶋氏は弘前市出身。大東大卒業後、弘前市の中学校教員などを経て弘前五中校長を務め、08年3月に退職した。
東奥義塾高校は1872年、12代目津軽藩主の津軽承昭が廃藩置県により廃止された津軽藩校「稽古館」を財政援助し、「東奥義塾」として再建したことに始まり、県内にある学校の中では最も長い歴史を持つ。1913年に一度廃校となるが、22年にジョン・ウェスレー宣教100年を記念して米国メソジスト教会とその関係者の協力により再興した。
建学の精神・校訓には「敬神愛人」を掲げ、キリスト教主義教育を基本としている。同校出身者には日本ホーリネス教会創設者の中田重治などがいる。