【CJC=東京】バチカン(ローマ教皇庁)は、バチカン図書館所蔵の文書数千点のデジタル化を進めている。機関紙ロッセルバトレ・ロマノが3月23日報じた。
「バチカン図書館に委ねられた資産を保全する中で文化を豊かにするという壮大な計画」は完成までに数十年かかる、という。
バチカン図書館は、世界で最古の一つとされており、手稿約7万5000点を所蔵している。総数では4000万ページという。総数は100万冊を超えるとも言われる。
所蔵品の中では4世紀に作られたギリシア語旧新約聖書の『バチカン写本』が有名。シナイ写本、アレクサンドリア写本と並び現存する三大ギリシャ語写本の一つ。1475年以来、蔵書目録に記録されている。またプロコピオスが6世紀のローマ皇帝ユスティニアヌス時代の裏面史を描いた『秘史』も所蔵している。
バチカン図書館にはいわゆるポルノ本が多数収蔵されている、と取りざたされているが、『禁書目録』に記載されたものの複製が大部分で、「世界最大」といううわさとは程遠いようだ。
関心が寄せられている秘密文書は、17世紀に分離された秘密文書館が所蔵しているので、今回のデジタル化には含まれない模様。
秘密文書館は、第二次世界大戦関係の記録など15万点を保存している。教皇ピオ12世がユダヤ人大虐殺に沈黙を守ったと非難されている中で公開が待望されている。
バチカン図書館は、2007年に改築のため閉鎖されたが、その際試験的に23文書のデジタル化を始めた。米航空宇宙局(NASA)が開発した“非常に高度な”技術を利用している、とイタリアのANSA通信は報じている。