「神は、実に、そのひとり子をお与えになったほどに、世を愛された。」
(ヨハネ3章16節)
クリスマスは、神さまが最も愛していたひとり子イエスさまを、あなたにプレゼントしてくださった日です。あなたを造られた神さまは、あなたを愛しておられます。
刑務所でのクリスマス
私が北海道の網走で牧師をしていたころ、刑務所の教かい師をしていました。クリスマスイブには寒い刑務所の講堂で、150人ほどの受刑者と、教会の聖歌隊の人たちと共に歌いました。
きよしこのよる 星はひかり
すくいのみ子は まぶねのなかに
ねむりたもう いとやすく
暗き心を照らす世の光である、キリストを表すローソクを手にして賛美する受刑者の目に、涙を見ることがありました。私の目にも、聖歌隊の人の目にも・・・。
神は冷たい獄屋にいる人たちを愛しています。全人類を罪と死から救うために、イエス・キリストをプレゼントしてくださったのです。
人の心は飼葉おけのように汚れています。しかし、どんなに汚れていても、十字架の血によって雪よりも白くしてくださるのです。
私は長野県の北アルプスのふもとに、農家の次男として生まれました。貧しくても小学校のころは、幸せいっぱいに育ちました。
高校生になって、3つ年上の兄のために悩みました。幼いころ脳膜炎のために知的障害となった兄は、あるとき家出をし、東京で浮浪者のような生活をして帰ってきました。女の子どもを追いまわしたり、無賃乗車をしたりしました。地方新聞の記事にもなり、兄の死を幾度願ったことでしょうか。この兄の世話はできないし、傷害事件にもなりかねない・・・。こんな家には将来、お嫁さんもこないと思いました。
兄を愛することのできない私は、兄とできるだけ離れて暮らしたいと思い、名古屋の新三菱重工に就職を決めました。父の家を継いでほしいという希望を無視して就職したことが原因であったのでしょうか。卒業式の日に父は投水自殺をしました。私は卒業証書と精勤賞と、県の教育委員会から表彰状を頂きましたが、もはや、喜んでくれる父はいませんでした。寂しさのあまり、就職してから友達と幾度の文通やサークル活動に打ち込みました。また、一升酒も飲み、泣き上戸とまで言われました。
ほんとうのクリスマス
あるとき、寮の食堂で友達に教会に行かないかと声をかけられ、ついていきました。そこは借家住まいの教会でしたが、愛が満ちていました。
神が私を愛していてくださることを、強く知りました。そして、高ぶっていた私の心が砕かれ、父母が、兄が悪いと、人を指差していた心が除かれ、見るのもいやだった兄を愛することができるようになりました。
今、神さまの愛をいっぱい頂きながら、今年もクリスマスを迎えます。あなたも、イエスさまを心に迎えて、ほんとうのクリスマスをお祝いいたしましょう。神さまは、あなたを愛しています。
工藤公敏(くどう・きみとし):1937年、長野県大町市平野口に生まれる。キリスト兄弟団聖書学院、ルサー・ライス大学院日本校卒業。キリスト兄弟団聖書学院元院長。現在、キリスト兄弟団目黒教会牧師、再臨待望同志会会長、目黒区保護司。