国会議員とともにイエス・キリストの誕生を祝う「国会クリスマス晩餐会」(同実行委員会、インターナショナルVIPクラブ主催)が1日、東京・紀尾井町のホテルニューオータニで開かれた。自民党の石破茂政調会長や民主党の土肥隆一衆院議員など超党派のクリスチャン議員らとともに、約700人が盛大にクリスマスを祝った。
石破氏は、4代目のクリスチャン。曽祖父は、熊本バンドのメンバーで新島襄らとともに同志社の創設に携わった金森通倫である。
ゲストで登場した石破氏は、「神様が人間に対して与える一番の罰は、祈れなくなることだと思います」と述べ、神の前にへりくだった心で祈りをささげた取税人が神に義と認められたという聖書箇所を引用し、「そういう思いをいつも持っていたい」とキリスト者としての姿勢を示した。
また、民主党の小沢一郎幹事長が「キリスト教は排他的」と発言したことに触れ、キリスト者の持つべき姿勢について、排他的でないといってただ寛容であるだけでは「あいまい」になりかねず、「キリスト者として妥協できないことはあるだろう」と意見を述べた。
最後に石破氏は、「神の御心にかなう世界が到来しますように」と語り、「皆様とともにクリスマスをお祝いいたします」と祝福を述べた。
メインスピーカーとして登場した聖路加国際病院理事長の日野原重明氏は、「戦争を知らない今の子どもに、戦争はどういうものかを伝えることが(自分の)もっともすべき仕事」と語り、同氏が小学生を対象に国内外で行う「いのちの授業」を紹介した。
授業は「命とはなんだろうか」という質問から始まる。子どもたちはたいてい自分の左胸に手を当てて「心臓」と答える。日野原氏は、心臓は命そのものではなく、酸素や栄養を持っている血液を体内に送り出すポンプだと説明してあげる。子どもたちが納得したところで今度は、生きるために不可欠である空気は見えるだろうか、雨を降らせる雲を運ぶために大切な風は見えるだろうか、と問いかける。子どもたちに、「見えないものの中にもっとも大切なことがある」と悟ってもらうためだ。
「命は目に見えない」ことを悟った子どもたちに、最後は「いま持っている時間がきみの命」だと伝えるのだという。日野原氏は、「戦争とかいじめというのは、命をこわすようなものであるということを教えなければいけない」と語った。
そのうえで、「いと高きところには栄光、神にあれ、地には平和、御心に適う人にあれ」(ルカ2:14)と天使が賛美する中でイエス・キリストが生まれたことに触れ、「それが今どうなっているのか」と嘆いた。アフリカで年間880万人の子どもたちの命が失われているという調査結果にも触れ、「どうしてこれだけのことが起こったというのに、日本は積極的な援助をしないのか」「命を大切にすることは国の政策でも一番大切である」と強調。超党派で集まったクリスチャン議員らに対し、「まず与える。与えることによって私たちは得る」と、福音の真理を説いた。
インターナショナルVIPクラブの市村和夫代表は、クリスマスカラーである赤と緑について、赤は、イエス・キリストがすべての人の罪を背負って十字架で身代わりに死なれた血潮、緑は、イエス・キリストが3日目によみがえり、信じる者に与えられた永遠の命を表していると説明。「全世界の祝福の源になっていただきたい」と全参加者を祝福した。
晩餐会には、国会議員や実業家のほかにも、国内500のプロテスタント諸教会・団体が賛同して今年7月に行われた日本プロテスタント宣教150周年記念大会の実行委員長である峯野龍弘氏(ウェスレアンホーリネス教団淀橋教会主管牧師)、大川従道氏(大和カルバリーチャペル主任牧師)をはじめ、来年5月に世界140カ国の宣教団体代表らの参加を見込んでいるエジンバラ100周年東京大会委員長の奥山実氏(世界宣教センター所長)など、国内の教会指導者も多数出席した。