19.大いに笑おう
カリフォルニア大学のノーマン・カズンズという教授が「5百分の1の奇跡」という本を出してベストセラーになり、日本語訳もあるそうです。何の奇跡かというと、この先生、膠原病(こうげんびょう)にかかったのです。膠原病、これは難病です。お医者さんに行ったら、これは5百人に一人しか治りませんから、「確率5百分の1」ですよと言われた。
それで、いろいろ薬を飲んで治療を受けたが、それでも良くならない。どんどん悪くなっていく。「どうせ死ぬなら残りの人生は面白おかしく過ごそう」と、決心したのです。お笑い番組を見たり、コミックを読んだりして、とにかく冗談言って笑って過ごしていた。そうしたら、笑っているうちに、なんと膠原病が治ってしまったのです。
それで、彼は文学の専攻なのに、今は医学部で教えているのです。「笑いの効用」という講座で。彼はこう言っています。「病は笑うべきではないが、笑うべきだ」。これは、私流に言うと、「問題は笑ってはならないが、笑わなければならない」。笑っているうちに、問題は解決してしまうのです。
私の知り合いの若い夫婦が大喧嘩をしたのです。ご主人のほうは会社がうまくいかなくて、給料がだんだん減り、ボーナスも出ない。それで面白くない。奥さんも、このままいったら家のローンが払えない。子どもの教育費はどうなる。そんなことでもめていたのですが、ある朝、爆発したのです。それでもう大喧嘩。
お昼になったので、奥さんが嫌々スパゲッティを作ったのです。ミートソーススパゲッティ。それをご主人に出した。怒っていたので何も言わないで。ご主人もお腹が減っていたので、「しょうがない。食ってやるか」と食べました。そうしたら、「なんだ、こんなまずいもん食えるか!」と怒って、奥さんの頭の上にミートソーススパゲッティをかけちゃったのです。奥さんがあんまりかっかしていたので「かっか、かっか」と塩を入れ過ぎちゃったらしいのです。だから、塩の塊みたいなスパゲッティだった。
普通だったら、奥さんはワァワァ泣くわけですけれど、最近の女性は強いですから負けていませんよ。「あなた!なにするのよ!」と叫んで、今度は、自分のミートソーススパゲティをご主人の頭の上にぶっかけたのです。それで、二人がスパゲッティを頭にのせてにらみ合っている。これはもう、婚姻を継続しがたい重大な事由、離婚原因になるのではないか。
ところが、そこへ子どもが帰ってきた、外で遊んでいて、お昼だから。ガラッとドアを開けたら、両親がスパゲッティを頭からかぶって、にらみ合っている。ビックリしちゃったと思うのですが、次の瞬間、「パパ、ママ、面白いよ、ぼくにもやらせて!」と言ったのです、「ぼくの頭にもかけてよー!」と言ったら、その場がほぐれて三人とも笑い出した。それで仲良くなって、今、非常にあつあつで暮らしています。なんと、この家族は私の教会に来ている方なのです。ですから、笑いは夫婦問題も解決してしまう。
「笑いは百薬の長」「笑う門に福来たる」
「ドント・ウォリー!」ということは、「笑っていいよ」「大いに笑いなさい」ということです。
皆さん、健康な人でも、一日4千個のガン細胞が生まれるそうです。公害、添加物、ストレスがたくさんありますから、ガン細胞が毎日4千個も発生するのです。放っておくと、ガン病に犯されることになります。ところが、一回笑うと、2百個のガン細胞が死滅するそうです。一回笑うと2百個です。では、4千個のガン細胞を殺すには何回笑ったらいいでしょうか。20回ですね。ですから、最低20回、一日に笑わないと危ないですよ。
医学的には、笑うことによって体内に免疫ホルモン(エンドルフィンとかドーパミン)が大量に生み出されて、ガン細胞を死滅させてしまうそうです。人を造ったのは神ですが、神の創造の驚異は、はかり知ることができません。(次回に続く)
佐々木満男(ささき・みつお):国際弁護士。宇宙開発、M&A、特許紛争、独禁法事件などなどさまざまな国際的ビジネスにかかわる法律問題に取り組む。また、顧問会社・顧問団体の役員を兼任する。東京大学法学部卒、モナシュ大学法科大学院卒、法学修士(LL.M)。このコラムでは、2004年11月6日のインターナショナルVIPクラブ広島特別講演会での講演録を再構成し、一部加筆したものを紹介する。