11.問題がなければ問題だ!
まず、皆さん、問題がなければ問題です。「問題がなければ問題だ!」。これは私が作った名言です。問題がないという人はもうお墓の中なのです。生きているということは問題があるということです。
問題があるから、仕事があり、職業があるのです。法律問題がなくなったら、弁護士は廃業です。教育問題がなくなったら、学校はいりませんから、先生も廃業です。事件がなくなれば警官もいらない。裁判官もいらない。それこそ、聖書をみんなが分かっちゃったら、牧師もいらない、教会もいらないということで、もう何もいらなくなってしまうのです。
問題があるから、なんとか私も仕事がある、職業がある。人さまのお役に立って、生活ができる。これはすばらしいことです。
ですから、「問題はいやだ」と思うのですが、やっぱり仕事がなくなると不安になるのです。生活できるのだろうかと。そんな時に難しい事件が入ってくると不思議に嬉しいのです。矛盾してますね。
お医者さんもそうだと思います。患者さんがいなくなったら困ります。やることがないし、生活できなくなる。今、歯医者さんが大変だそうです。歯医者さんの大きな集会で3回お話したことがあります。「どんなことにもくよくよするな!」をスピーチしました。
なぜかと言いますと、今、歯医者の数が多くなりすぎて、お客さんの取り合いになっている。それで、どんどん倒産したり、自殺したり。歯科医の養成学校もどんどん縮小しているのです。「みんな、くよくよしているから、ぜひ、くよくよしない秘訣を話してくれよ」と、知人の歯科大教授から頼まれてお話したのです。歯医者さんだって、患者さんがいなくなったら大変です。ですから、「問題は歓迎すべきだ!」。
「人生七転び八起き」
問題は絶えずありますから、誰でも転びます。転ばない人は一人もいない。でも、転んだら起きればいいのです。そこで、わぁわぁ泣きっぱなしで起きないと大変ですが、また起きればいいのです。人生はいくらでもやり直しがきく。倒産したって、離婚したって、交通事故に遭ったって、どんなことでも、やり直しはきくのです。 (次回に続く)
佐々木満男(ささき・みつお):国際弁護士。宇宙開発、M&A、特許紛争、独禁法事件などなどさまざまな国際的ビジネスにかかわる法律問題に取り組む。また、顧問会社・顧問団体の役員を兼任する。東京大学法学部卒、モナシュ大学法科大学院卒、法学修士(LL.M)。このコラムでは、2004年11月6日のインターナショナルVIPクラブ広島特別講演会での講演録を再構成し、一部加筆したものを紹介する。