国家の弾圧を受けながらも信仰を貫き通した先達に学び、その信仰を次の世代に継承しようと、第18回ホーリネス弾圧記念聖会が21日、東京新宿区のウェスレアン・ホーリネス教団淀橋教会で開かれた。第2部の聖会では、大戦中に弾圧を受けた高橋俊三・深川木場教会牧師の子女、高橋愛子氏(東京中央教会信徒)が立証。弾圧の歴史を風化させず、「(後世へ)語り継いでいくべき」と訴えた。
太平洋戦争が始まって約半年後の1942年(昭和17年)6月26日、当時の日本基督教団第6部・9部に所属していた全国のホーリネス系教会の牧師ら100人あまりが、治安維持法違反の容疑で一斉検挙された。高橋氏の父、俊三牧師もその一人であった。
特高警察は、俊三牧師の自宅にあった聖書や神学書籍、手紙に至るまで、持ち物のほとんどを没収。それらは二度と手元に戻ることはなかった。
留置所での生活は悲惨を極めた。俊三牧師の着ていた和服には、いつも驚くほどたくさんのしらみがわいていた。病弱で特別に差し入れを許可されたが、留置所の職員は訪れた子どもたちに見えるように、わざと俊三牧師をスリッパで殴る、熱湯を体にかけるなどした。
警察での度重なる取調べと公判手続きが続いた。判決は懲役2年、執行猶予3年。保釈はされたが、もともと病弱であった俊三牧師の体は、胃潰瘍によりさらに衰弱していた。俊三牧師は、1945年3月10日の東京大空襲に巻き込まれ、地上での56歳の生涯を終えた。
高橋氏は、燃え盛る火の中で最後まで人々に向かって罪の悔い改めを勧め、キリストを信じるようにと祈りながら火だるまになって死んでいった父の最期を語り、「死に至るまで忠実だった」とその信仰を証しした。