国の文化審議会(西原鈴子会長)は19日、関西学院大学のシンボルである関西学院大学時計台(旧図書館、兵庫県西宮市)など46カ所の建造物116件について、登録有形文化財(建造物)に登録するよう、塩谷立文部科学相に答申した。
1929年(昭和4年)に建てられた関西学院大学時計台は、教会などキリスト教関係の建築物も含めて日本で数多くの西洋建築を手がけたW・M・ヴォーリズの代表作の一つ。同学院が神戸から現在の西宮上ケ原キャンパスへ移転した際に建設された。新しい図書館が97年に完成してからは図書機能はすべて移されたが、現在は同学院の歴史資料編纂や展示スペース、大学院生専用の自習室などとして活用されている。また、現在も同大の図書館報の名称が「時計台」とされるなど、図書館としての名残を残している。
一部地下1階の2階建てコンクリート造り。戦後の1955年(昭和30年)には両翼が増築され、南北に47メートルの長さがある。赤い瓦屋根とクリーム色の外壁が特徴。
このほか今回の答申では、ヴォーリズ記念病院礼拝堂(旧近江療養院チャペル、滋賀県近江八幡市)、アンドリュース記念館(旧近江八幡YMCA会館、同市)、ウォーターハウス記念館本館(旧ウォーターハウスレジデンス主屋、同市)、ウォーターハウス記念館門及び塀(同門及び塀、同市)がキリスト教関係の建造物の中で選ばれた。いずれもヴォーリズの作品。
ヴォーリズは国内に1500以上の建築物を残しており、すでに同志社大の啓明館、アーモスト館(京都市上京区)や日本基督教団・大阪教会(大阪市西区)、日本福音ルーテル市川教会会堂(千葉県市川市)など37件が登録有形文化財に選ばれており、今回新たに5件が加わって42件となった。これは一人の建築家の登録数としては最多。