日本カトリック司教協議会(岡田武夫会長=東京大司教区大司教)は18日、今年5月21日から始動した裁判員制度について、司祭や修道者らカトリックの聖職者が裁判員候補に選ばれた場合、辞退を希望するよう促す公式見解をまとめた。
カトリック教会では、政教分離の観点から聖職者が国家権力を行使する職務に就くことを教会法で禁止している。これまで裁判員制度への対応を協議してきた司教協議会は、裁判員としての職務が権力の行使に該当するかどうかをバチカン(ローマ教皇庁)に非公式に問い合せていたが、バチカンからは教会法に抵触する可能性が高いとする回答を得ていた。
今回の見解は15日から始まった司教総会(20日まで)での協議の中で出されたもので、裁判所から候補者に送られる質問票には辞退希望を明記し、辞退しても選任された場合は過料(10万円以下)を支払っても不参加することを勧めている。日本のカトリック教会の聖職者約7000人が該当する。
一方、一般の信徒(全国で約45万人)については、「それぞれの良心に従って対応すべきだ」として辞退は求めず、各個人の判断に委ねた。また、死刑に関与する可能性があるため良心的に拒否する場合については、その立場を尊重するとした。
また共同通信によれば、信徒が裁判員に選ばれた場合、心に負担を受けることが考えられることから、「重大な判決にかかわっても裁判員と裁判官、みんなの判断。あなたの責任ではありません」という内容のメッセージも発表する予定だという。