【CJC=東京】米改革派教会(RCA=信徒数16万6000人)は2000年の総会以来、『ベルハル告白』の採択に取り組んで来た。実現すれば380年の歴史で初めて新しい「告白」の採択となる。これまで同派は、使徒信条、ニカヤ信条、アタナシウス信条とベルギー告白、ハイデルベルク信仰問答、ドルト信条を掲げている。
『ベルハル告白』は、アパルトヘイトという白人優位の人種隔離政策が行なわれていた時代の南アで1982年に起草され、86年に『南ア・オランダ改革派ミッション教会』(DRMC)で採択された。原文はアフリカーンス語で書かれている。「信仰の叫び」「誠実と悔い改めへの呼びかけ」として当時反対運動の指導者アラン・ブーサク氏が主導していた。
RCAは2007年の総会で『ベルハル告白』を暫定的に採択した。しかし内部の姿勢は大きく分かれており、キャロル・ベクテル議長は各教区を回って論議を重ねてきた。その中では同告白が、当時の南アの白人政権の人種隔離政策に反対したのが、政権支持の主体であった白人主体の改革派教会であり、「アパルトヘイト」を当時の政局に強く結びつけていたことが意識された。
ベクテル議長は、教会の告白は、歴史の中で私たちの聖書との関わりから出て来るものであり、その時々において将来への証を担うものだ、とし、『ベルハル告白」が今日では一致、正義、和解を強調するもので、17世紀当時の告白には盛り込まれていなかったものを、表明しようと見る。そこで今回の告白を採択することは、パレスチナ紛争、アフリカ大陸の暴力、さらには同性愛についてまで教会の姿勢を明らかにすることにつながると言う。
「私たちは話し合った。どのように語るかについても学ぶことが多かった。この話し合いを続ける必要がある。ただそれは賛否両派の中の極論派には不満が高まる可能性がある。しかしそれこそが『ベルハル告白』を取り上げる理由」とベクテル議長。
RCAはミシガン州ホランドで6月4〜9日の日程で総会を開催した。総会の議題の一つが、経済的理由から、来年の総会を中止することと、『ベルハル告白』を改革派信仰を表出するものとして採用すること。
『ベルハル告白』採択への反対が、差別撤廃の中身にあることは事実。これまで同派は朝鮮語系、スペイン語系の教会の存立を認めるなど1628年にオランダ語系の教会で結成された当時とは言語的・民族的差別や男女間差別などを克服して来た。しかし同性愛者をも差別することなく教会に受け入れるということには抵抗がなお大きい。今回総会には2005年に任命された同性愛問題について対話を始める委員会の報告も行われる。
『ベルハル告白』は、米長老教会(PCUSA)も2008年6月の第218回総会で『諸告白書』に収録過程に着手することにしている。
ブーサク氏は『ベルハル告白』が同性愛者の教会への完全参画を支持していると言う主張を、南ア合同改革派教会総会(URCSA)が否定したことを受け、同派を離脱した。