【CJC=東京】米公民権運動の指導者マーチン・ルーサー・キング・ジュニア牧師の伝記映画を製作する構想を映画製作会社『ドリームワークス』が5月19日発表した。同社を設立した1人であるスティーブン・スピルバーグ監督らがプロデューサーになるという。
1968年に暗殺されたキング牧師が残した演説集や書籍などの権利を管理するため遺族が設立した団体『キング・エステート』から、同牧師の人生を映画化する権利を取得した。実現すれば、遺族が公認する初めての劇場映画になるとしている。
スピルバーグ氏は「映画の創造力とキング牧師の人生のインパクトを合体させて力強い物語にしたい」と言う。
キング牧師はアフリカ系市民に対する人種差別を終わらせるために非暴力抵抗を唱えた公民権運動指導者。1964年に史上最年少でノーベル平和賞を受賞したが、68年4月4日、テネシー州メンフィスで演説中に白人男性に暗殺された。「アイ・ハヴ・ア・ドリーム(私には夢がある)」の名演説で有名。バプテスト派牧師。
米国では現在、キング牧師の誕生日1月15日に近い1月第3月曜日が「マーチン・ルーサー・キング・ジュニア・デー」として祝日になっている。
スピルバーグ氏は監督として現在、リーアム・ニーソン主演のエイブラハム・リンカーン米大統領の伝記映画(2011年全米公開)を準備中だが、リンカーンの誕生日もアメリカの祝日になっている。
『キング・エステート』の社長兼CEOは、キング牧師の息子デクスター・キング氏。現在、母コレッタ・スコット・キングさんが執筆した手紙の権利などをめぐり、兄弟のバーニス・キング、マーティン・ルーサー・キング三世両氏と法廷で争っていることから、『ドリームワークス』が、キング牧師の子どもたちの紛争に巻き込まれる可能性が出てきた。
ニュースが報じられるとすぐに、長女バーニス・キングさんはAP通信に「スピルバーグ氏たちは『キング・エステート』からの承認を得たようだ。しかし私たちの承認は得ていない」と語った。それを受け、デクスター氏は19日、父の知的財産を所有しているのは自分、と声明を発表した。