【CJC=東京】教皇ベネディクト十六世はイスラエル訪問初日の5月11日、最後の行事として、キリスト者、ユダヤ教徒、イスラム教徒、ドルーズ派、サマリア派などの代表と、教皇立エルサレム・センター・ノートルダム研究所講堂で会談した。同研究所は故ヨハネ・パウロ二世が宗教、文化、慈善、教育プログラムを行うために設立した。
教皇は英語の演説で「私たちの違いは必然的に分裂の原因であるのだから容認されるべきものだ、と言われる。私たちの声をとにかく封じるべきだ、とする人もいる。しかし私たちの違いは、私たちの間でも社会一般でも、抗争や緊張の不可避の原因だと誤解されることがあってはならない」と述べた。
教皇は、会談参加者に、私たちを分けているもの全てに敬意を払い、私たちを祝福された被造物として結び付けることを全て推進し、私たちの共同体と世界に希望をもたらす願いと共に勇気を持って前進するよう勧めた。
教皇の演説が終わると、エルサレムのイスラム法廷の最高判事シェイク・タイシル・タミミ氏が、プログラムにはないのに壇上に上がり、アラビア語でイスラエルを非難する発言をした。会場内がざわめく中、ユダヤ教徒2人が退席した。エルサレムのフアル・トゥワル・ラテン典礼大司教は発言をやめさせようと壇上に上った。教皇はアラビア語を解さないので、判事が何を述べたかは分からなかった。
バチカン(教皇庁)広報事務所長のフェデリコ・ロンバルディ神父は、シェイクの乱入を、主催者側の予期しなかったこと、とする声明を発表した。