10月5日の記者会見の中でレバノンのムニール・ハイララ司教は、かつて自分が経験した想像を絶する悲劇の中で許しを選んだという、深く感動的な物語を語った。
ハイララ司教が幼かったころ、彼の両親は殺害された。しかし、叔母の助けを受け、彼は復讐ではなく許しを選んだ。現在はマロン派カトリック教会のバトルーン司教として、自身の体験を通じて、数十年にわたる紛争で傷ついた国に和解を呼びかけている。彼のメッセージは明確だ。それは「憎しみと暴力の中でも、平和と共存は可能である」ということである。
宗教的・政治的な分断が特徴とされることの多いレバノンだが、司教の使命においては、特に重要な場所となっている。ハイララ司教は世界の人々に、異なる信仰が調和して共存できる場所としてレバノンを見てほしいと訴えている。
彼は自身の人生の旅路をベースに、対話と尊重、そして団結という協調に向けた努力を、分断や恐怖に優先させる意識の変化として提唱しているのである。彼が世界に向けて発信する呼びかけ、つまり「許し」を土台とするなら、平和な未来の実現は、もっと現実味を帯びてくるのではないだろうか。
レバノンは長年、宗教的・政治的分裂や内戦の影響を受けてきた。また近年は、経済危機や社会的不安が状況をさらに悪化させている。そのような困難な状況の中で、ハイララ司教は「許し」をテーマに、自身の経験を共有することで、平和と和解の重要性を訴えたのだ。
平和の福音(エペソ6:15)を携え、日夜奮闘している主の奉仕者のために祈ろう。レバノンおよび世界が真に平和を獲得するために、福音宣教が前進するよう祈っていただきたい。
■ レバノンの宗教人口
イスラム 59・0%
プロテスタント 0・6%
カトリック 23・9%
正教関係 7・3%
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