教派や政党の違いを超え、クリスチャンが国家のために祈る集い「日本国家祈祷会」が4月27日、神戸市内のホテルで開かれ、300人以上が集まった。自民党元幹事長で複数の大臣経験がある衆議院議員の石破茂氏をはじめとするクリスチャンの議員らも参加。発起人会の村上好伸牧師(カリスチャペル)は、「クリスチャンの議員の方々の上に、あなたの助けを与えてください」と祈り、「この日本が、世界の平和のために真に役立つ国にしてください」と求めた。
国家のために心を一つにして祈ろうと、関西の牧師やクリスチャンの実業家らが中心となって昨年4月に大阪で初開催し、今回が2回目。ゲストには石破氏のほか、衆議院議員の遠藤良太氏、参議院議員でグッド・サマリタン・チャーチの牧師でもある金子道仁氏、千葉県流山市長の井崎義治氏、岐阜市長の柴橋正直氏を迎えた。
遠藤氏は、「政党や団体は違えど、イエス・キリストの下に集まってこのように賛美し、分かち合いのできるひとときを感謝したい」とあいさつ。金子氏は、「福音のメッセージは国政の場所でも非常に重要」と強調し、「皆さんから永田町に遣わされた宣教師としてこれからも活動し、この国に御心のなる政策を少しでも行っていきたい」と話した。
井崎氏は、2003年5月の市長就任の翌月から、流山市内にある諸教会の有志が井崎氏を支える祈りの会を立ち上げ、毎月市の課題を祈る中で、祈りの力を具体的に体験していったことを証しした。一方で最近、国の為政者のために祈ることが減っていると打ち明け、「この会を通じて、国の為政者のために祈る信仰を見直すきっかけと、祈るモチベーションを得て帰りたい」と語った。
柴橋氏は、クリスチャンの政治家として市民の幸せを願うとき、「家庭、職場、地域の中に、キリストの愛があふれていくことを祈らされる」と語った。祈りの重要性を強調し、「祈りによってクリスチャンの政治家が守られ、その働きが祝福され、それを通じて地域の皆さんが救われていくことを心から願ってやみません」と話した。
ゲストスピーカーとして登壇した石破氏は、4代目のクリスチャンとしての生い立ちを紹介しながら、パリサイ人と収税人の祈りの例えに言及。「(神の御前で)自分はちりあくたのようなものでありますが、いつも祈れる者でありたい。主が、絶えざる祈りを聞き、涙に代えて歌をたまわんということがあれば、どんなに素晴らしいことか」と語り、「この交わりがさらに発展し、皆様の祈りによってこの国が、そして世界が、争いのない平和なものとなりますように」と話した。
メインスピーカーとして登壇した巡回伝道者の岸義紘牧師は、ヨハネの黙示録を引用しながら、教会がローマ皇帝による長く激しい迫害から奇跡的に救われた歴史を振り返り、「聖書の神様は、逆転の神様。聖書の神様は、苦難を栄光に必ず引き出す」と強調した。
ヨハネが使徒としての権威を振りかざすのではなく、「あなたがたの兄弟で、あなたがたとともにイエスにある苦難と御国と忍耐にあずかっている者」(黙示録1:9)と自身を紹介する謙虚さが、この日登壇した議員らにも同じように感じられると岸牧師。「神様がこの方々を今日の預言者、明日の預言者として豊かにお用いくださって、混迷度を増す日本と世界にあって大逆転を起こしてくださるような働きに進んでいくことを切に願ってやみません」と語った。
岸牧師のメッセージに続き、会場全体で祈る時が持たれた。テーマごとに、まず発起人会の牧師が代表して祈った後、参加者が一斉に祈りをささげた。
国家のリーダーと各界のリーダーのために祈りをささげた村上牧師は、創世記でヨセフがエジプトの総理として用いられたように、国家のリーダーたちに「知恵を与えてください。夢を与えてください。この国のためのビジョンを与えてくださるように」と願った。また、全国各地や各界で立てられているリーダーたちが、「その地域や場所における豊かな祝福のために用いられるように」と求めた。
日本のリバイバルのために祈った高田義三牧師(チャーチ・オブ・クライスト・ニュージーランド日本・大阪教会)は、「この国をどうぞ顧みて、憐(あわ)れんでください。ご聖霊の豊かなお働きの中で、自らの罪を悔い改め、イエス・キリストを救い主として受け入れ、従う人々を豊かに起こしてください」と求めた。その上で、「あなたは恵みと憐れみに富んでおられます。その御目をもって、全地を隅々まで見渡し、その心がご自分と全く一つになっている人々に御力を現してくださいます」と語り、「私たちの心が、あなたと全く一つとなりますように」と願った。
信仰継承のために祈りをささげた富浦好之牧師(国分福音教会)は、「私たちの信仰が、子どもたちに、また子々孫々に継続されていくように祝福してください」と求めた。「この素晴らしい福音を、家族にもたらしていくことができますように」と語り、「教会でどんどん家族が救われていきますように。全国津々浦々にこの祝福が注がれていきますように」と願った。
日本宣教の拡大のために祈った大久保みどり牧師(主イエス・キリスト教会)は、「あなたが大リバイバルをもって、この終わりの時代、日本を用いてくださることを信じます」と強調。「信徒一人一人が命ある信徒となりますように」と願い、「祈りの力を一人一人が十分に受け取って、祈り続けることができるように」と求めた。
キリスト者と教会の一致のために祈りをささげた小平牧生牧師(ニューコミュニティ)は、「私たち教会は、あなたの教会としての特権と使命に生きることよりも、自分たちの正しさ、清さ、豊かさ、大きさ、また願いが実現することを、あなたの祝福とすり替えるようにして歩んできたことを悔い改めます」と語り、「私たちを憐れみ、私たちの罪を赦(ゆる)し、清めてください」と求めた。
その上で、「私たちがまことの神であるあなたに立ち返り、互いに愛し合い、助け合い、仕え合い、分かち合うことを通して一つとなって、あなたの御心にふさわしく生き、委ねられた命の福音を証しし、愛の業に生きることによって、争いや貧困のない世界をつくり上げていくことができますように」と願い、「そのために主の弟子とされた私たちを、あなたの愛と清さに生きる者としてください」と求めた。
会場には、クリスチャンの議員として、大阪府茨木市議会議員の米川勝利氏、京都府精華町議会議員の村田周子氏の姿もあった。万代栄嗣牧師(松山福音センター)と兵庫県加古川市議会議員の藤原みつえ氏が司会を務め、食前祈祷はCBMCアジアパシフィック副会長の井上義朗氏がささげた。また、祈祷会の冒頭には、日本基督教団高砂教会の聖歌隊が合唱と琴の演奏で特別賛美をささげた。