第21回日本CBMC国家朝餐祈祷会が18日、東京・永田町のザ・キャピトルホテル東急で行われ、クリスチャンの国会議員や財界人を含む、教団教派を超えた教職信徒ら約100人が国家と指導者のために祈りをささげた。今年は国際的なビジネス宣教団体「CBMC」の第23回アジア太平洋大会の一環として行われ、アジア各国のクリスチャンリーダーをはじめ国内外から450人がオンラインで参加した。(関連記事:CBMCアジア太平洋大会、「御霊の一致」テーマに東京で開幕 廣瀬薫牧師が講演)
国家朝餐祈祷会は1930年代に米シアトルで始まり、53年にドワイト・アイゼンハワー大統領(当時)が出席して以降、米国では現職の大統領が毎年欠かさず出席することで知られる祈りの運動。世界各国で広がりを見せ、日本では、世界90カ国以上にネットワークを持つ日本CBMCが2000年から毎年主催している。昨年に続き、コロナ禍だからこそクリスチャンリーダーたちが国家と指導者のために祈ることが重要と考え、今年も信仰に基づいて開催した。
各国の大使らも出席する中、来賓を代表して自民党の石破茂衆院議員が冒頭であいさつした。4代目のクリスチャンである石破氏は、「この国がこれから先どうなっていくのか。今までにない厳しい選択をしていかねばならないし、すべて突き詰めて物事を考え、解を生み出していかねばならない。そこにおいて、御心が行われますように、どうか道をお備えください、足らざるものばかりのちりあくたのような私でもご用のためにお用いくださいと祈ることを忘れてはならないと思っている。皆様方の祈りのもとに、御心がこの国にそして世界に行われるよう心から祈念する」と述べた。
今年のテーマは「御霊の一致」。「多様性にあふれる主の群れをつなぐ帯」と題してメインメッセージを伝えた日本基督教団総会議長の石橋秀雄牧師は、「信仰の一致は教団の悲願」と語った。2011年の東日本大震災をきっかけに信仰の一致による伝道協力を訴え、教団の伝道推進基本方針を掲げて祈祷運動、信徒運動、献金運動を全国的に展開していることを紹介。「何としても日本基督教団が礼拝でつながり、同じ信仰によってつながり、主の御栄えを現す教団となっていきたい」と決意を述べた。
出席者を代表し、西村希望牧師(JESUS FAMILY CHURCH)が次世代の育成と祝福、姫井雅夫牧師(日本基督教団赤坂教会)が大宣教命令とリバイバル、小西孝蔵氏(ワールド・ビジョン・ジャパン理事長)が世界の貧困や災害、紛争など過酷な状況にある人たち、山川百合子氏(元衆議院議員)が日本と世界の政治とそのリーダーたち、山下純一氏(ファミマデジタルワン監査役)がアジア太平洋と世界の平和、杉田仁牧師(BS朝日編成制作局構成業務部長、GARDEN HILLS CHURCH)が日本と世界のメディア、瀬戸健一郎氏(国家朝餐祈祷会実行委員長)がキリスト者の和解と一致を覚えて祈りをささげた。
西村牧師は、「次世代を大いに祝福してください」と求めた。「多くの子どもたち、若者たちが傷つき、倒れています。どうぞこの国を哀れみ、特に傷ついている子どもたち、若者の心を癒やし、守ってくださるように。キリストにある永遠の希望を持つことができるように」と願った。
さらに「次世代のリバイバルは、国のリバイバルです」と述べ、「この国の次世代を哀れみ、福音が届けられるように。また、次世代が育てられ、次の時代を担うリーダーたちが起こされますように。彼らが御言葉と聖霊によって強められ、この国を神の国とし、また神の国の拡大のために力強いリーダーとして彼らが育てられていくことができるように。そのために私たちを用いてください」と祈りをささげた。
姫井牧師は、「まさにリバイバルが必要なのです」と祈り、「この喜びを、この希望を、一人でも多くの人々に伝えたいのです。そのためにはクリスチャンであるお互いが、しっかりとした信仰にとどまり、この世の誘惑や流れに押し流されてしまう生涯でないよう守ってくださるように」と願った。そして、「人はうわべを見るが、主は心を見る。心の中にしっかりと神様の御旨を頂き、神様にお従いし、出て行ってすべての造られた者に福音を伝えなさいとおっしゃるあなたのご命令にお従いすることができるように。上からの力、上からの恵みを、今この場所にいらっしゃるお一人お一人の上に、豊かに注いでくださいますように」と祝福を祈った。
小西氏は、世界各国で気候変動や飢餓、紛争やテロなどにより多くの人々が苦しむ現状に触れ、「全知全能の神様、義と愛の神様、あなたがそうした助けを求めている一人一人の故に心の痛みを覚えておられると思います」と述べ、「わが兄弟なるいと小さき者になしたるは、われになしたるなり」とのイエスの言葉を引用。「私たちはそのキリストの愛をもって、こうした困難の中で助けを求めている人々、子どもたちに寄り添い、可能な限り支援の手を差し伸べることができますように。これらすべてのわざにおいて、あなたのご栄光が現され、御国の支配が実現できますように」と祈った。
山川氏は、「政治が国民一人一人の悩み、苦しみに寄り添い、それを解決する道筋をつくり出すために、そこに集う人々が真摯(しんし)に働くことができますように。国民の間に分断ではなく、支え合い、そして助け合う仕組みをつくり出すことができますように。国民一人一人の命を輝かせることができますように」と祈った。
また、「それぞれの国や地域にそれぞれの事情があり、立場がありますが、国のリーダーたちがそのことにとらわれず、敵意を廃棄することができますように。リーダーたちが自らの虚栄心や人間的な勝ち負けにとらわれることなく、正義と公正に基づき、互いに違いを尊重し合い、認め合い、そして高め合い、愛をもって世界の平和をつくり出していけるように、あなたがリーダー一人一人に働いてください」と求めた。
最後に、「政治は人間社会の最もこの世的な営みでありますから、その政治の場において、御心がなされますように。あなたの御国が来ますように。あなたが特別に働いてくださいますように」と祈り、「私たちがその政治において、平和をつくり出す者、ピースメーカーズとして働けるように、どうぞ用いてください」と願った。
山下氏は、アジアに暮らす40億人のわずか2割にしか福音が届いていないことや、各地で紛争や弾圧、迫害に苦しむ多くの人々がいることに触れ、「すべての国民を哀れんでください。すべての国、地域のリーダーにあなたのご計画をお示しください。すべての者にあなたの福音が届きますように」と祈った。「そのために、まず先に救われた私たちを強めて用いてください」と願い、CBMCが活動するアジアの21の国と地域の祝福を祈った。そして、「この日本からアジアへ、そして世界200の国と地域の78億人の上に、主の御霊が豊かに臨むように。私たちが属しますビジネスおよびマーケットプレイスを通して、すべての人にあなたの福音が伝わりますように」と願った。
杉田氏は、「日本のジャーナリズム、世界のジャーナリズムが今転換期を迎えています。私たち一人一人が神様のことを求めることができますように。日本のジャーナリズムの中にクリスチャンがもっと増えていきますように。そして福音が、何よりも世界中に伝えられるように」と祈った。
瀬戸氏は、CBMCアジア太平洋大会の開催を準備する中で、アジア各国のリーダーたちとの間に「御霊の一致」が与えられたことを主に感謝した。「イエス様はご自分の体と一緒に、私たち一人一人の中にある敵意を十字架につけて、葬り去ってくださったのです。謝罪をしても赦(ゆる)すのは難しい、それはお互いの中に敵意があるからです。それを打ち砕かなければだめなのだ、このことが本当の悔い改めなのだ、それによって私たち一人一人が同じ主の御霊を頂いているからこそ、そこに御霊の一致があるのだということを、この大会を通して学ばせていただきました」と述べた。
その上で、「アジアの一致だけではない、世界の一致がこの御霊によって行われていく、その御霊を私たち一人一人に与えてください」と求め、「ここから出発し、敵意を廃棄して、一人一人が輝く顔をお互いに見つめながら、愛の中にこの一致を求めていくことができるように助けてください。あなたの福音だけが、あなたの栄光だけが、私たちを通して現されるように用いてください」と願った。
祈祷会では、日本CBMCの青木仁志理事長、韓国CBMC東日本連合会の朱珍安(ジョ・ジナン)会長、華人CBMCの陳淑芬(キャロル・チェン)代表があいさつ。開会祈祷を細井眞牧師(日本アッセンブリーズ・オブ・ゴッド教団十条キリスト教会)、食前祈祷を鈴木武仁牧師(日本基督教団東京信愛教会)、閉会祈祷・祝祷を山北宣久牧師(元青山学院院長)がささげた。音楽ゲストには、クリスチャン・シンガーソングライターのチェ・ドクシン牧師(FREEDOM TOKYO WORSHIP CENTER)とギタリストの池田宏里さん、ピアニストの小堀英郎さんが出演し、特別賛美をささげた。
祈祷会後には、3日間にわたって行われたCBMCアジア太平洋大会の閉会式が行われ、次回2023年の開催地マカオへ大会を引き継いだ。