国際的なビジネス宣教団体「CBMC」の第23回アジア太平洋大会が16日、東京・六本木の国際文化会館を会場に3日間の日程で始まった。大会テーマは「御霊の一致」(エペソ2:14〜18)。アジア各国のクリスチャンリーダーがオンラインで参加する中、初日最初のメイン集会では日本CBMCのアドバイザーで恵泉女学園学園長の廣瀬薫牧師が講演。「アジアと世界のリバイバルを目指していきましょう。私たちは平和の絆で結ばれて、御霊の一致を熱心に保って歩みましょう」と参加者たちを励ました。(関連記事:クリスチャンビジネスリーダーの使命とは CBMCアジア太平洋大会)
日本CBMCと韓国CBMC東日本連合会、華人CBMCが主催し、アジア太平洋地域にある全CBMCの協賛を得て、東京での開催が実現した。開会に当たり、CBMCアジアのウェイ・ワン・チェン会長とCBMCのジム・ファールストム国際会長のビデオメッセージに続いて、日本CBMCの青木仁志(さとし)理事長が登壇。「多くの人の支えで開催できたことを心からお礼申し上げます。アジアでの御霊の一致を通して、神様は必ず大きく私たちを用いてくださると信じています。この3日間、心を一つに、共に神様の栄光を表していきたい」とあいさつした。
講演の冒頭で廣瀬牧師は、「私たちは主にあって一つ」と強調。「国籍は違っても、同じ信仰によって一つです。キリスト教会は地域を超えて、歴史を貫いて、一つだけ。今この世で担っている仕事はいろいろでも、私たちが目指している願いは一つ、それは世界のリバイバル」と話した。また、アジア太平洋戦争で日本がアジアの国々に多くの犠牲をもたらしたことに触れ、「日本の教会は、アジアと世界のクリスチャンと共に、信仰に立って平和の歩みをする強い決意を持っています」と述べた。
日本宣教について、英国人宣教師ベッテルハイムが沖縄に来てから175年たった今も、日本人はバングラデシュのシャイク族に次ぐ世界第2の未伝民族グループだとしながらも、「日本の歴史を見ると、実に大勢のクリスチャンの先人たちの働きが重ねられてきている」と指摘。大正から昭和にかけて活躍した日本人クリスチャンとして、キリスト教社会運動家の賀川豊彦と恵泉女学園創設者の河井道(みち)を紹介した。
まず、今も多くの日本人が関係する労働組合、生活協同組合(コープ)、農業協同組合(JA)のルーツに牧師である賀川の活躍があり、賀川が全国各地で展開した二度にわたる大衆伝道の働きを通して、累計約151万人が福音に触れたことを紹介。「日本にはすでに福音の種がたくさんまかれていて、実りを待っている。日本の伝道は難しくないと思ったほうがいい」と語った。また、全国どこででも見られたJAの旧ロゴマークには、日本の主要農産物の米ではなく、ヨハネの福音書12章24節「一粒の麦は、地に落ちて死ななければ、一粒のままです。しかし、死ぬなら、豊かな実を結びます」をモチーフに、麦と十字架がデザインされていたことも紹介した。
廣瀬牧師は、「日本の農協や生協が、キリスト教と結び付いたままの歩みを進めていたならば、福音宣教はどう展開しただろうかと想像してみていただきたい」と問い掛けた。「クリスチャンが教会の中にこもってしまい、社会から手を引いたり、ビジネスは信仰とは関係ないと言ったり、あるいは牧師だけが福音宣教に頑張っていて、信徒は教会生活と社会生活が別々になりがちであったというところに、日本の教会の弱さがあったのではないか」と指摘。「教会はもちろん大切です。そして、教会を拠点に、社会のあらゆる領域に福音を伝えていくことが大切。牧師だけではなくて、信徒が共に社会の置かれた場で、福音宣教と神の国の前進のために生き生きと活躍していくことが大事」と語った。
そのために大切なのは、大会テーマにもなっている「御霊の一致」であり、エペソ人への手紙でも、具体的な実践を教える4章の最初に一番大事なこととして「一致」が教えられていると強調。「聖書は、信仰を単に個人的なこととは終わらせずに、信仰共同体が大切だと教えています。私たちは、聖書が言う通り、一致を第一に大切なこととして受け止めて、平和の絆で結ばれて御霊の一致を熱心に保ちましょう」と語った。
廣瀬牧師は、「イエス様を信じて救われたのがゴールではありません。それはスタートです。そこから、神様が創造された素晴らしい世界全体を預かって、教会を拠点にして神の国をつくっていくという尊い使命があります」と指摘。「そのために信徒は、神様が遣わす社会の場所で働いています。救われて、イエス様の似姿に成長していく一人一人によって、この世界のすべてが生かされて完成に向かいます。一つに完成する働きをするクリスチャンにとって、第一番目に大切なのは一致だと聖書が言うのは、当然なこと」と話した。
さらに、「聖書は『一致しなさい』と言っていないのです。『一致を保ちなさい』と言うのです。すでに一致が、イエス様の十字架によってあるからです」と強調。「罪は、私たちと神様との間を隔て、さらに人間同士の間を隔てる壁を作り出します。しかし、イエス様がその壁をすべて十字架において打ち壊しましたから、私たちクリスチャンはすでに一つです」と述べた。
聖書は、御霊の一致を保つために平和の絆で結ばれなさいと教えている。ではどのようにして、平和の絆で結ばれることができるのか。廣瀬牧師は、第1次世界大戦の悲しみから1929年に恵泉女学園を創設した河井道が、太平洋戦争中も国家の圧力に屈せず礼拝を守り、一貫して世界の平和を求め続けることのできた原動力について語った。
恵泉女学園の敷地内にあるモニュメントには、「誰も泉をつくることはできない。それは創造主からの賜物である」との河井の言葉が、学園のスピリットとして英語で刻まれている。廣瀬牧師は、「人間が作り出す考えや常識、友好ではだめなのであって、人間が作り出せない、創造主のエネルギー原を供給する恵みの泉でなければならない。私たちは、神様が与えてくださる聖霊の泉からくんで、平和の絆で結ばれて、御霊の一致を熱心に求めていきましょう」と呼び掛けた。
16日夜には、華人CBMCから日本横浜華僑キリスト教会の藩文后牧師が「世界中の中国人への大宣教命令」をテーマに講演。17日午前には、韓国CBMC東日本連合会から株式会社永明の呉永鍚(オ・ヨンソク)会長が「大宣教命令のための起業家・ビジネスリーダー」と題して講演した。午後には、CBMCベトナムからル・ティ・ホアン・アイン医師が「ベトナムのパンデミック状況下におけるクリスチャン医師の使命」と題して講演する。最終日の18日には、クリスチャンの国会議員や財界人を含む、教団教派を超えた教職信徒らが国家と指導者のために祈る国家朝餐祈祷会が行われる。
大会はオンラインでもライブ配信(限定公開)され、大会ウェブサイトで無料の事前登録をすることで誰でも参加できる。大会の詳細、事前登録は、大会ウェブサイト(英語)を。