米国第2のプロテスタント教団で米国外にも所属教会がある合同メソジスト教会(UMC)は4月30日、米ノースカロライナ州シャーロットで開催した総会(4月23日~5月3日)で、米国聖公会とのフルコミュニオンに関する協定案(英語)を承認した。米国聖公会が同じく協定案を承認すれば、両教団はそれぞれの洗礼や聖餐を認め合い、教職者が互いの教団で奉仕することが可能な関係となる。
UMCの公式メディア「UMニュース」(英語)によると、総会の代議員らはこの日、複数の議案の一括採決で、米国聖公会とのフルコミュニオンに関する協定案を含む複数の議案を、賛成667、反対54で承認した。
UMニュース(英語)によると、米国聖公会は2027年に予定されている会合で協定案の採決を取る見通し。承認されれば、両教団は互いを「福音が正しく宣布され、教えられている、一つの、聖なる、普遍的かつ使徒的な教会」として認め合うことになる。
UMCは16年にオレゴン州ポートランドで開催した前回の総会で、メソジスト派の創始者ジョン・ウェスレーに大きな影響を与えたことで知られるモラビア教会(モラビア兄弟団)の米国北部、米国南部の両管区とのフルコミュニオンに関する協定案を承認。両管区も18年に承認したことで、正式にフルコミュニオンの関係になっている。
この他、UMC監督協議会のウェブサイト(英語)によると、UMCは、黒人系のメソジスト派5教団に加え、米国福音ルーテル教会(ELCA)、スウェーデン合同教会ともフルコミュニオンの関係にある。米国聖公会が協定案を承認すれば、UMCとフルコミュニオンの関係を結ぶ9つ目の教団となる。
米国聖公会は既に、ELCA、モラビア教会米国北部、米国南部両管区とフルコミュニオンの関係にある。また、ELCAとモラビア教会米国北部、米国南部両管区も互いにフルコミュニオンの関係にある。そのため、米国聖公会がUMCとの協定案を承認すれば、4つの教団が互いにフルコミュニオンの関係を結ぶことになる。
米国聖公会系のリビングチャーチ誌(英語)によると、同性愛を巡る見解で長年意見が対立していたUMCは、同性愛を巡る教えや保守派の離脱の問題などが解決するまで、米国聖公会とのフルコミュニオンに関する検討を一時的に停止していた。
UMCは19年から23年にかけ、同性愛を巡る見解の相違で、保守派を中心に約4分の1に相当する7500以上の所属教会が離脱。このうち4500以上の教会が、22年に発足したグローバル・メソジスト教会(GMC)に合流している。
一方、同誌によると、米国聖公会には米国内の他のプロテスタント教団と合同を模索したものの、失敗に終わった歴史があるという。1920年代には会衆派、30年代から40年代にかけては長老派の教団と合同に向けて協議を行っていたが、いずれも洗礼や聖餐といったサクラメント(聖礼典)の有効性や、教職者の叙任に絡む問題で頓挫している。
なお、同誌によると、米国聖公会が協定案を承認した場合でも、フルコミュニオンの関係を結ぶのはUMCの米国内の教会に限られる。