米国第2のプロテスタント教団で米国外にも所属教会がある合同メソジスト教会(UMC)は、4月23日から5月3日にかけ、米ノースカロライナ州シャーロットで総会を開催した。UMCは、同性愛を巡って教団内で長年意見が対立してきたが、保守派の所属教会がこの数年に大量離脱したことを受け、総会では、同性愛者の教職や同性婚を認める議案が相次いで決議された。
4月30日には、同性愛団体への教団資金の提供や、同性愛容認を推進する活動への教団資金の使用を禁止していた教憲条項の削除などを、賛成667、反対54で承認した。この日はこの他、「自ら公言する実践的な同性愛者」を教職候補者として不適格とする要件の廃止や、同性婚を司式した教職を最低1年間の無給停職処分とする罰則の廃止なども合わせて承認した。
5月1日には、1984年の制定以来、40年にわたってUMCが定めてきた「自ら公言する実践的な同性愛者」への按手(あんしゅ)を禁止する教憲条項の削除などを、賛成692、反対51で承認した。
5月2日には、同性愛について「キリスト教の教義と相いれない」と明記していた教憲条項の削除などを、賛成523、反対161で承認した。この条項は、1972年に教憲に追加されたもので、削除を巡る動きもあったが、半世紀以上にわたり堅持されてきた。
この日はこの他、「結婚は、信仰を持つ2人(性交同意年齢に達した成人男性と成人女性、または性交同意年齢に達した成人2人)を互いに結び付け、神と信仰共同体とのより深い関係へと導く、神聖で生涯にわたる契約である」とする、同性婚を内包する結婚の新しい定義も承認した。
米キリスト教メディア「クリスチャンポスト」(英語)によると、今回の総会で承認されたような議案はいずれも、過去の総会では全て否決されてきたが、教団内のリベラル派は、同性愛を認めない教憲条項の遵守を拒否してきたという。
そうした状況の中、UMCは2019年の特別総会で、この問題に関連し所属教会がUMCから離脱するプロセスを設ける一時的な措置を承認。その後、保守派を中心に離脱が始まり、19年から23年にかけて、7500以上の教会がUMCを離脱した。
22年には、UMCを離脱した保守派を中心に、新教団としてグローバル・メソジスト教会(GMC)が発足。GMCには現在、4500以上の教会が所属している。
UMCは、1939年にメソジスト監督教会、メソジスト・プロテスタント教会、米国南メソジスト監督教会が合同してできたメソジスト教会と、46年にキリスト合同ブレザレン教会と福音教会が合同してできた福音合同ブレザレン教会が、68年に合併して誕生した。
福音派・保守派主体の南部バプテスト連盟(SBC)に次ぐ米国第2の規模のプロテスタント教団で、主流派(メインライン)としては米国最大の教団、またメソジスト派の教団としては世界最大とされる。
主流派に位置付けられてきたものの、これまで教団としては同性愛について公式には認めない立場を取り続けていた。一方、教団内の神学的、政治的立場は幅広く、共和党のジョージ・W・ブッシュ元大統領の所属教団である一方で、民主党のヒラリー・クリントン元国務長官の所属教団でもある。