【CJC=東京】世界教会協議会(WCC)はサミュエル・コビア総幹事が任期満了と共に退任するとの意向を明らかにしたのに伴い、後任調査委員会を発足させた。同委員会のアグネス・アブオム委員長は2月24日、調査はなお進行中だが、28日で加盟教会の推薦は締め切られる、との声明を発表した。
2月初め、アブオム氏は加盟教会の中ですでに候補を推薦して来たところがある、と述べていた。しかしWCCはなお候補者リストを公表してはいない。
ただこれまで大韓イエス教長老会が、世界改革教会連盟のスタッフを務め、現WCC中央委員の神学者、パク・ソンウォン牧師を推薦していることが明らかになった。また調査委の1人で中央委員である豪合同教会のグレゴル・ヘンダーソン氏が辞任したことが、自身が候補に推薦されたのではないか、と推測されている。
昨年12月、ノルウェー教会(ルーテル派)は、同派の対外・教会一致関係評議会総幹事のオラフ・フィクセ・トゥヴェイト牧師を推薦した、と発表している。また当時、全アフリカ教会協議会総幹事だった、南アのムヴメ・ダンダラ牧師が推薦されたとの報道も流れた。ただ同氏は南ア人民会議の指導者として政界に進出するものと見られている。
アジア・キリスト教協議会(CCA)総幹事のプラワテ・キド=アルン氏(タイ)の名も挙がっている。
正教会、聖公会その他プロテスタント諸教会で構成されているWCCの総幹事は、事務総長として、また責任発言者として、WCCの方策を解説、推進する役。
コビア氏は2003年に総幹事に選任されたが、昨年2月、「個人的な理由」から任期の延長を求めないと進退を明らかにしていた。米ルイジアナ州のフェアファックス大学から博士号を取得していたが、同大学は学位授与の資格がないことが暴露されたことも衝撃だった。
また世界の現状にWCCが対応出来ていないのも変わらず、コビア氏が積極的に世界各地を回っているのは無駄遣い、との批判がドイツの教会指導者から出されていた。
WCC内部にも混乱があり、後任選考を一時棚上げし2009年1月から総幹事代行を任命することで合意していたにも関わらず、08年9月には常置委員会がコビア氏との契約延長に同意した。「新たな将来展望」に関連するものとの説明がなされていた。