日本福音同盟(JEA)社会委員会(児玉智継委員長)は25日、公式サイトで「関東大震災100年 朝鮮人・中国人虐殺犠牲者を覚えて」と題した祈り(22日付)を公表した。
祈りは、昨年100年を迎えた関東大震災で発生した朝鮮人・中国人虐殺について、「当時、教会の多くはこの痛ましい事件に対して何もいたしませんでした」と告白。その上で、た現代においても在日外国人に対する偏見や差別がヘイトスピーチやヘイトクライムとして表れているとし、「私たちを偏見と差別と偽りから守ってください」「言語、文化、ルーツを超えて隣人になる歩みをすることができるよう、私たちを造り変えてください」などと求めている。
祈りには解説も付けられており、なぜ虐殺が起こったのかも説明。地震発生13年前の1910年にあった韓国併合、4年前の1919年に朝鮮半島で起こった三・一独立運動により、「朝鮮人に対する差別や恐れが、日本社会に蔓延していた」と背景について述べている。
虐殺はこうした背景の中、地震の混乱に乗じて「朝鮮人が井戸に毒を投げ入れた」「朝鮮人が暴動を起こしている」などのデマやうわさが広がったことで起こったとされている。
一方、日本政府は虐殺について正式に認めていない。そのため、祈りの解説では、「この虐殺について歴史家たちの地道な掘り起こしによって史実が明らかにされているにもかかわらず、為政者は検証を行おうとはしません。むしろ為政者の言葉や行動が問題を曖昧にしています」などとしている。
関東大震災時の朝鮮人・中国人虐殺を巡っては、日本カトリック司教協議会社会司教委員会も昨年8月、声明を発表。日本政府に対し、「虐殺の歴史に真摯(しんし)に向き合うことを強く要望」するなどと求めた。また、日本キリスト教協議会(NCC)も昨年9月、岸田文雄首相に対し、虐殺の真相究明と国家責任の表明を求める要望書を送っている。