「求不得苦(ぐふとくく)」とは、「求めているものが得られない苦しみ」のことをいいます。「努力は人を裏切らない」とよくいわれますが、いくら努力をしても、求めるものが手に入るとは限りません。世の中は、自分を中心に回っているのではないからです。
世の中が自分を中心に回っていると考えることは、太陽系が地球を中心に回っていると考えることに似ています。太陽系は、太陽を中心に回っています。同じように、全てのことは神を中心に回っているのです。それが分からなければ、一生「求不得苦」で苦しむことになります。
神は良いお方で、神から見た一番良いものをあなたに与えています。この事実を受け入れると、すぐに納得はできなくても、悩みは激減します。初めは自己中心の性質から「ほかの人はどうであっても、私だけは良い思いをしたい!」と思うかもしれませんが、後になると、必ず納得できるようになりますし、感謝できるようになります。
たとえ自分の願った通りのものが手に入らなくても、神の願った通りのものが与えられていると分かったら、それで真の満足が得られます。
最後に、アメリカ南北戦争で負傷した南軍の兵士が、収容先の病院の病室に残した詩で、現在、ニューヨーク州立大学病院物理療法リハビリテーション研究所の受付の壁に展示されている詩を紹介します。
「苦難にある者たちの告白」
大きなことを成し遂げるために
力を与えてほしいと神に求めたのに
謙虚さを学ぶようにと 弱さを授かったより偉大なことができるようにと 健康を求めたのに
より良きことができるようにと 病弱を与えられた幸せになろうとして 富を求めたのに
賢明であるようにと 貧困を授かった世の人々の称賛を得ようとして 成功を求めたのに
得意にならないようにと 失敗を授かった人生を楽しもうと たくさんのものを求めたのに
むしろ人生を味わうようにと シンプルな生活を与えられた求めたものは何一つとして 与えられなかったが
願いは全て聞き届けられていた神の意にそわぬ者であるにもかかわらず
心の中の言い表せない祈りは 全てかなえられた私はあらゆる人の中で、
最も豊かに祝福されていたのだ
「ある兵士の祈り(原詩)」
成功を収めるために 神に力を願ったのに
弱くなってしまった 謙遜を学ぶように
偉大なことをするために 神に健康を願ったのに
病気になってしまった 神の心にかなうように私の願いは何一つかなえられなかったけれど
希望した全てのことを私は受けた幸せになるために 神に富を願ったのに
貧しくなってしまった 生きる厳しさ知るように
弱い人を助けるために権威を願ったのに
無力になってしまった 神に頼ることを学ぶように
神は私に必要なこと何もかも知っておられる
希望した全てのことを私は受けた人に尊敬されるために 神に手柄を願ったのに
ただ失敗に終わった 思い上がらないように
聖なる人になるために 神に徳を願ったのに
罪の醜さに泣いた 神の愛の深さ悟るために
私の姿は変わらない
弱く何もできないけれど
喜びに満ちあふれて私は歌う
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