2023年のウクライナにおける宣教活動は、主に占領解除された地域に住む人々や、戦争によって故郷を追われた人々への定期的な支援に向けられた。これらの人々の多くは、持っていたもの全てを失ってしまったのだ。
ロシア軍によるウクライナ侵攻後、ほとんどの教会や慈善団体は、こうした人々が新しい場所でゼロから生活を始めるのを助け、以前の生活に戻れるように支援しようとしている。多くの団体が力を合わせて、より多くのことを成し遂げようと奮闘しているのである。
22年夏、ケルソン地域の住民を支援するため、幾つかの団体が協力して活動を始めた。現在この地域は、ウクライナの中でも最も被災している地域の一つであり、ボランティアが今も活動している場所だ。
ロシアの占領と、カホフカダム破壊後に発生した洪水に襲われ、その中を生き延びたケルソン地方の人々は、過酷な状況の中で自分たちの生活を続けようとしている。電気も下水道も飲料水も、薬局や商店の基本的な物資さえもなく、人々は他の地域に移ったり、とどまったりしながら、なお前向きに生きようとしている。しかし、食料、衛生用品、水、衣服など、最も必要な物資は常に不足しているのだ。
宣教団体やボランティアは、ケルソン地方の人々を助ける機会を探し続けている。「人々の苦しみ、絶望、むなしさを目の当たりにして、人生で最も大切なことは、彼らが神の言葉と主からの赦(ゆる)しの機会を得ることだと私たちは知っています。それで私たちは、彼らのために1300冊の新約聖書を提供したのです。私たちが配る食料品と衛生用品の箱には、新約聖書と、大人と子ども向けの聖書研究についてのパンフレットも入っています。各家族は、肉体のための助け(シリアル、パスタ、お茶、缶詰、ひまわり油、歯磨き粉、シャンプー、ウェットティッシュなど)と、神の御言葉からの魂の助けを受け取っています」と、あるミニストリーリーダーの一人は言う。
「私たちが提供している援助と助けは、このような困難なときに、自分たちは忘れられていないことを人々に思い出させ、彼らは心から感謝しているのです」「人々は新約聖書をもらった感謝の気持ちを表し、自分たちが見たり経験したりした全てを生き抜くのは、神による以外にありませんと言っています。神なくしては、何の力もないのです」
「私たちは、人々が涙を流しながら新約聖書を胸に抱きしめているのを目にします。彼らの慰めと希望は神の中にしかないのです。今日、涙の谷を行くウクライナの人々に、聖書を提供することを通して仕える機会を与えてくださった主に感謝します」
支援ボックスを配布している現地の奉仕者たちは、困難な中にいる人々の言葉を深く心に刻んでいる。平和を謳歌していたときには見向きもしなかった聖書の中に、人々は困難な状況を通して希望を得ている。
「彼らは涙の谷を過ぎるときも、そこを泉のわく所とします。初めの雨もまたそこを祝福でおおいます」(詩篇84篇6節)
ウクライナの人々は、キリストの福音によって、涙の谷を喜びの泉の湧く所とされている。何という慰め、何という励ましだろう。困難の中にいる人々が、なおも福音の中に希望を見いだし、救われる魂が続々と起こされるように祈っていただきたい。
■ ウクライナの宗教人口
正教 61・2%
プロテスタント 5・8%
カトリック 10・1%
無神論 19・5%
◇