イングランド北部の貧しい町バーンリーにあるチャーチ・オン・ザ・ストリートは、ホームレスや飢えた人々、ひと目見て人生が破綻していると分かる絶望的な人々に手を差し伸べている。この教会は、ダマスコへの途上での主イエスとの出会いによって劇的に変えられたパウロのように、危険な麻薬の売人から聖職者に転身したミック・フレミング牧師によって設立された。
アレックス・フロスト神父と協力し、彼は現在、貧困、虐待、薬物・アルコール中毒などで苦しむ多くの人々に食べ物、衣類、希望を提供している。ミックの驚くべき物語は、彼の著書『Blown Away: From Drug Dealer to Life Bringer』で詳しく語られている。『Blown Away』には、彼が目撃した数々の奇跡がつづられており、まるで「使徒の働き」のようだ。
彼の人生は、最愛の姉が20歳の時に心臓発作で急死し、11歳の時に公園でレイプされた翌日から転落していった。彼は深刻な犯罪に身を染めたのだ。悪から悪へと堕ちていく彼に、家族全員が悲しみに打ちひしがれた。ミックには、自分の心の傷を打ち明けることのできる人がいなかったのだ。幼少期のつらい記憶を覆い隠し、30年近くも暴力的な裏社会で暮らし、その間、殺人で2度、武装強盗で3度逮捕された。
しかし彼の母親は、そんな彼を決して諦めずに、いつも息子のために祈り続けた。ミックは次第に、目には見えない誰かが自分を見守ってくれていることに気付くようになった。
ある日、彼は拳銃に弾を込めて、ある標的を殺害するために備えていた。すると標的の男が2人の幼い子どもを連れて現れた。彼が銃に手を伸ばしたとき、無邪気な子どもたちの笑顔に胸を打たれ、一瞬時が止まった。すると子どもたちの片方の手から、まばゆい光が放たれたのだ。
「あれはこの世のものとは違う真っ白い光だった。15秒間も、俺は全く見えなくなってしまった。それはまるで太陽よりもまぶしい光を見ているようで、感覚が完全にマヒしてしまったんだ」
倒れて完全に衰弱した彼は、神に助けを求めた。動転した彼は、自分自身に銃口を向けて撃とうとしたが、銃は発射されなかった。「使徒の働き9章」に登場する使徒パウロのダマスコ途上での劇的な回心に匹敵するようなまばゆい光の体験の後、ミックの体験は当初誰にも理解されず、彼は精神衛生法に基づいて隔離され、バーンリーの精神科に入院させられた。
ゆっくりとしたプロセスではあったが、彼の人生は完全に好転し、新しい友人であるイエスと親密な関係を築き、最終的には神学校を卒業し、生き延びるために奮闘している人々に、ミックが見つけたキリストの愛を分かち合うようになった。
最初はマクドナルドの外でホームレスにサンドイッチとコーヒーを分け与えることから始めたが、BBCのおかげで彼の話が広く知られるようになると、寄付が殺到し、成長するミニストリーの拠点となる建物を購入することができた。
数年前、彼はアルコール中毒のホームレスと親しくなった。彼は、親身にこの男の話に耳を傾け、世話をし、酒を断つのを助け、家族と再会するために尽力した。
その男は2年後に亡くなったが、彼の家族は、彼が帰らぬ人となる前にみんなが一緒になれたことを心から喜び、感謝していた。そしてなんと、その男は彼をレイプした男だったのだ!
なんということだろう、ミック・フレミングは、この男を赦(ゆる)すことができただけでなく、彼の世話をすることもできたのだ。いったいどうしてそんなことができるのだろう。彼は、極悪非道だった自分が赦されていることを知っていたからだ。
主イエスは言われた。「人を赦さないなら、あなたがたの父もあなたがたの過ちをお赦しになりません」(マタイ6:15)
ミックは、イエスから与えられる信者への賜物である聖霊の、明確かつ直接的な導きを求めている。
ある時、彼がマクドナルドの外で食べ物を分け合っていると、ある男性が突然ベンチから倒れ落ちて地面に激しく打ち付けられた。転倒したその男は、明らかに脈がないかのように見えたが、ミックは主イエスが彼をよみがえらせてくださるように祈ったところ、男は息を吹き返して事なきを得たのだ。使徒の働き20章に登場する転落した若者の蘇生のようなエピソードだ。
彼が自分に大きなトラウマを残した男に示した愛の秘訣は、彼がいつでも聖霊の力に頼っていたことだろう。
ハレルヤ!歴史を通じて、ミックのようなキリストの弟子たちの証しによって、世界はどれほど変えられてきたことだろう。キリスト教大国の誉れが過去のものとなってしまったとささやかれる英国だが、ミック・フレミングのような常軌を逸したキリストの愛に生きる弟子がいることに、大きな慰めと励ましを受けずにはおれない。英国が、キリストにあるかつての栄光を取り戻し、リバイブされるよう祈っていただきたい。
■ 英国の宗教人口
英国教会 36・2%
プロテスタント 8・3%
カトリック 8・6%
無神論 34・5%
正教 1・1%
ユダヤ教 0・4%
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