ニジェールは、イスラム教徒の多い国だ。ニジェール人にとってのイスラム教は、もはや民族アイデンティティーの一部と見なされている。人々は、ニジェール人であればイスラム教徒であるべきだと考えている。イスラム教から他の宗教への改宗は裏切り行為と見なされ、キリスト教への改宗者は家族や地域社会からの敵意に直面する。改宗者は家族から拒絶されたり、実家から追い出されたり、軟禁されたりすることもある。彼らの多くは、イスラム教を離れた罰として相続権を否定されるのだ。
過去5年間、サヘル地域ではイスラム主義者による暴力的な攻撃が激増し、ニジェール政府はジハード主義者に多くの領土を奪われている。ボコ・ハラム、イスラム国西アフリカ州(ISWAP)、イスラム・マグレブ地域のアルカイダ(AQIM)といった過激派グループの存在は、国家当局にとっても、国内のキリスト教徒にとっても絶え間ない脅威であり続けている。イスラム主義者の支配下にある国境地帯では、公の場で集会を開くキリスト教徒に対して、過激派グループが暴力を振るうことが知られている。そのため、キリスト教徒の集会は発覚を避けるため、密かに行われている。
キリスト教徒は公共の場で差別と敵意に直面している。地方公務員として雇用されることはほとんどなく、昇進も認められないことが多い。キリスト教徒が集会に集まることが妨げられることもあり、教会登録のための法的手続きは非常に長く困難である。また、法律はキリスト教徒の親に対して十分な保護を欠いている。親権争いではキリスト教徒の親が負けるのが普通だ。一方、イスラム教徒の親は法的に優遇される傾向にある。
主要都市以外の地域、特に首都以外の地域に住むキリスト教徒が最も迫害を受けやすい。イスラム過激派は一種のイスラム国家樹立を目指しており、シャリア(イスラム法)に従う支配を強要している。
イスラムからキリスト教に改宗したある女性信者は言う。「私は多くの困難に直面し、兄弟や親戚から憎しみを向けられました。彼らは『なぜこんな間違った教えを受け入れたのか』と問い続けました。でも、私は真実な神の恵みを受け入れたのです。間違った教えに生きているのは私ではなく、それは彼らなのです」
以前のニジェールでは、教会がイスラム過激派グループによる攻撃の主要な標的とされることはなかった。しかしここ数年、イスラム過激派による攻撃が相次いでいる。またあらゆる生活領域での圧力が強まっており、キリスト教徒はイスラム社会で生活しながら信仰に従って生きることの困難に直面している。イスラム過激派の存在により、国内の教会活動はさらに制限されているのである。
信者らが、ニジェールで活動している過激派グループの暴力から守られ、女性がビジネススキルを学び、彼女たちのビジネスグループが祝福されるように祈ろう。信仰を否定する圧力にさらされているイスラム教徒出身の信者を、神が強めてくださるように祈っていただきたい。
■ ニジェールの宗教人口
イスラム 97・1%
プロテスタント 0・2%
カトリック 0・1%
土着宗教 2・5%
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