津田塾大学は8日、同大小平キャンパス(東京都小平市)で開いた「津田梅子記念会&ホームカミングデー」の中で、「世界最高齢のアプリ開発者」として知られるITエバンジェリストの若宮正子氏(88)に第13回津田梅子賞を授賞した。
同賞は、同大創立者でクリスチャンの津田梅子(1864~1929)のパイオニア精神にちなみ、女性の可能性を広げる取り組みを行っている個人や団体、先駆的な活動を展開してきた女性らに贈られる。同大創立110年の2010年に創設された。これまでに元マラソン選手の有森裕子氏や国境なき医師団日本元会長の黒﨑伸子氏らが受賞している。
若宮氏は1935年、東京都生まれ。東京教育大学(現・筑波大学)附属高校卒業後、三菱銀行(現・三菱UFJ銀行)に就職。当時女性としては珍しい管理職に就任し、定年時には関連会社の副部長にまで昇進した。
58歳から当時普及し始めていたパソコンを独学で習得。70歳過ぎに表計算ソフト「エクセル」を使って色鮮やかな図案を描く「エクセルアート」を考案。2017年には81歳でスマートフォン向けアプリ「hinadan」を開発し、「世界最高齢のアプリ開発者」として注目を集めた。同年には、米アップル社が主催する世界開発者会議「WWDC2017」にも招待された。
内閣府主催「人生100年時代構想会議」に82歳の最年長メンバーとして参加。デジタル庁の有識者会議「デジタル社会構想会議」構成員、岸田文雄首相主催「デジタル田園都市国家構想実現会議」構成員、NPO法人「ブロードバンドスクール協会」理事。
同大は、シニア世代のITエバンジェリストとしての活躍に加え、当時では珍しい金融界での女性管理職就任や、独学でデジタル分野を切り開いたことなどを評価。「年齢や性別を理由に限界を決めることなく、常に好奇心を持って新しいことに挑戦するマインドは評価に値する」として授賞を決めた。