津田塾大学は9月30日、第12回津田梅子賞の受賞者を、女性として初めて官僚トップの事務次官となった松原亘子(のぶこ)氏(81)に決定したと発表した。
同賞は、同大創立者でクリスチャンの津田梅子(1864~1929)のパイオニア精神にちなみ、女性の可能性を広げる取り組みを行っている個人や団体、先駆的な活動を展開してきた女性らに贈られる。同大創立110年の2010年に創設された。
松原氏は1941年、島根県生まれ。東京大学教養学部卒業後、労働省(現・厚生労働省)入省。婦人少年局(当時)の配属になって以降、働く女性に関わる多くの法律に関わり、男女雇用機会均等法の制定・施行などに取り組んだ。同局はその後、婦人局、女性局と名称を変え、現在は雇用均等・児童家庭局となっている。
婦人局長時代には、現在の育児・介護休業法の前身となる法律やパートタイム労働法の制定・施行を担当。その後、労働基準局長、労政局長を経て、1997年に労働事務次官に就任。労働省における官僚(国家公務員)トップの立場になった。
後の厚生労働省で、村木厚子氏が厚生労働事務次官を務めるが、女性で事務次官になったのはこの2人のみ。他省ではこれまで女性の事務次官は誕生しておらず、同大は「省庁は依然、男性社会である中、松原氏の業績は津田梅子賞に相応しいといえる」とした。
贈賞式は、9日に同大小平キャンパス(東京都小平市)で開催される「2022年度津田梅子記念会&ホームカミングデー」のプログラム内で行われる。当日の模様はユーチューブでライブ配信される予定。