2020年の米大統領選の結果認定を遅らせる目的で、翌21年1月6日に発生した米連邦議会議事堂襲撃事件に関与したとして、米フロリダ州在住の牧師親子と教会員の男性が有罪となった。
有罪となったのは、共に同州メルボルンを拠点とする教会「グローバル・アウトリーチ・ミニストリーズ」の牧師であるジェームス・キュージック氏と、息子のケイシー・キュージック氏。この他、同州インディアン・ハーバー・ビーチ在住で同教会の教会員とされるデイビッド・ジョン・レスペランス氏も有罪となった。
3人は14日、立入禁止の建造物や敷地に合法的権限なく故意に立ち入り、あるいはとどまったとして、また、立入禁止の建造物内で破壊行為、あるいは治安紊乱(びんらん)行為を行ったとして、さらに、議事堂敷地内に暴力的に立ち入り、治安紊乱行為を行ったとして、有罪とされた。
同州の日刊紙「フロリダトゥデイ」(英語)が17日に報じたところによると、3人はいずれも有罪評決を不服として控訴する見込みだという。一方、量刑の言い渡しは10月12日の予定で、3人はそれまでの間、勾留を解かれる。3人は21年6月に逮捕・起訴されていた。
起訴状(英語)によると、米連邦捜査局は逮捕に至るまでの数カ月間に、ジェームス氏が議事堂襲撃に関与したとする匿名の情報を複数受け取っていたという。一方、レスペランス氏は、任意の事情聴取の段階でジェームス氏と共に議事堂に侵入したことを捜査官に認めていたという。
捜査当局は令状を取って入手した電話記録から、ジェームス氏の電話が事件当日に「議事堂の内部を含む地理的範囲」で使用されたことを突き止めていた。捜査当局はまた、ボディカメラと監視カメラの両方から、事件当日の午後にジェームス氏が議事堂内にいた映像も入手している。
ジェームス氏は、牧師や宣教師らの交友組織である「信仰教会牧師協会」(AFCM)に所属し、1979年にオクラホマ州タルサのレーマ聖書訓練大学を卒業している。
グーグルマップによると、グローバル・アウトリーチ・ミニストリーズの所在地は一つの民家の付近であることから、民家を利用した教会だったとみられる。グーグルマップ上では現在、「閉業」と表示されている。
議事堂襲撃事件の逮捕者は千人余りに上っており、今回有罪となった3人はそのうちの一部に過ぎない。
事件は、ジョー・バイデン大統領がドナルド・トランプ前大統領に勝利した20年の米大統領選の選挙人による投票を、マイク・ペンス前副大統領と下院議員らが集計していた日に発生した。当日は、合法的な集会がホワイトハウス南側に隣接する公園「ザ・エリスプ」や、議事堂がある地区「キャピトル・ヒル」で開かれ、数千人が参加していたが、その一部が警備を押しのけて議事堂に乱入した。
事件を巡っては、米極右組織「プラウドボーイズ」のエンリケ・タリオ全国委員長を含むリーダー4人が5月、扇動共謀罪で有罪評決を受けている。
また、別の米極右組織「オースキーパーズ」のメンバー4人も6月、同罪などで有罪となっている。オースキーパーズは、創設者のスチュワート・ローズ氏ら2人が昨年11月に同罪で有罪となり、ローズ氏は今年5月、事件に絡む量刑では最も重い禁錮18年を言い渡されている。