キリスト教精神に基づいて受刑者や出所者の社会復帰支援を行うNPO法人「マザーハウス」の設立者である五十嵐弘志氏が、「法人の行動規範に反した行いがあった」と申し出、理事長を辞任した。マザーハウスが18日、ホームページで発表した。当面は副理事長の原田昇氏が理事長代行を務めるという。
マザーハウスは、「大変申し訳ございませんが、現在法人としてご説明できることはこれ以上ございません。ご理解賜りますよう何卒よろしくお願い申し上げます」とした上で、「引き続き、受刑者・出所者のみなさんのために活動をしてまいりますので、今後とも当法人の活動にご支援のほど重ねてお願い申し上げます」としている。
一方、朝日新聞が19日に伝えたところによると、五十嵐氏は、相談に来た20代の女性に性的暴行を加えたとして逮捕され、準強制性交罪で起訴されていたという。女性に性的暴行を加えたとされるのは今年5月。同じく19日に報じた共同通信によると、起訴は4日付。
五十嵐氏は、自身も逮捕と出所を繰り返した経験のある元受刑者。3度目の逮捕時に留置所に勾留されていた際、日系ブラジル人から聖書の話を聞いたことがきっかけで、キリスト教信仰に導かれた。
出所後にカトリックの洗礼を受け、12年にマザーハウスを設立。17年には、犯罪・非行の防止および犯罪者・非行少年の更生・矯正への貢献が認められた人に贈られる「作田明賞」を受賞するなどしていた。教会を含めた各所で講演を行い、本紙のインタビューにも応じていた。