東南アジアのイスラム教国マレーシアは、マレー半島とボルネオ島北部の一部を占める。多民族国家として知られ、マレー人、中国人、インド人、イバン族、ビダユーアン族など、さまざまな民族が暮らしている。経済的には、多くの天然資源を有し、製造業や農業、観光業が盛んだ。
イスラム教が国教であるため、イスラム文化が根強い。宗教の自由はあるが、マレー系民族は別で、彼らは皆イスラム教徒であることが求められる。マレーシアの憲法では、イスラム教を離れると死刑になると定められているが、これはまだ一度も実行されたことはない。
イスラム教からイエスを信じた人が家族に信仰を明かすと、イスラム教に戻るよう極度の圧力を受け、家族からも隣人からも敵意を向けられる可能性が高い。家族は、娘や息子を守るために、すぐにイスラム教徒と結婚させることもある。シャリーア法の裁判官が同意すれば、少女の場合、16歳未満でも結婚させることができる。
新しい信者は逮捕され、キリスト者の共同体を明かすように尋問される。彼らは、教会の指導者の名前を出すように圧力をかけられ、投獄されたり、死刑を宣告される可能性すらある。ローマカトリックやメソジストなど、歴史の長い宗派のキリスト教徒は、当局によって監視され、見張られている。福音派など非伝統的なプロテスタントのグループは、より多くの改宗者を集め、ムスリムに積極的に福音を伝える傾向が強く、意図的に標的にされている。
キリスト教の共同体をイスラム教に改宗させようとする国家的計画があることを示す証拠もあるようだ。マレーシアでは、より保守的なイスラム政党がますます力をつけ、支持を集めているという。
謎の襲撃者たちに誘拐されたレイモンド・コー牧師の事件は、発生からすでに6年以上の歳月が流れる(当課題2022年3月25日参照)が、彼は今も行方不明だ。
スザンナ・コー夫人は「私は、神の御許に逃れます。神だけが私の頼れる方です。主は、いつも私のためにご自身を現してくださるからです」と述べ、自身の信仰を明らかにしている。レイモンド牧師の無事と開放のために祈ろう。
マレーシアのキリスト者を取り巻く法的状況が改善され、当局が信者の集まりに干渉することがないように、また、マレーシアの兄姉たちがいかなる状況にあっても変わらない神の愛を知り、それを他の人に強く証しすることができるように祈っていただきたい。
■ マレーシアの宗教人口
イスラム 62・6%
プロテスタント 4・01%
カトリック 0・01%
仏教 6・5%
儒教 9・4%
ヒンズー 6・2%
土着宗教 0・9%