トルコとシリアを襲った記録的な大地震により、多くの命が失われた。地震から1週間が経過した13日午後7時時点で、犠牲者は3万8千人以上を数える。国連人道問題調整事務所(OCHA)のマーティン・グリフィス事務次長によると、犠牲者は5万人を超える見通しだ。
そんな中、ロイターによると、地震発生から7日以上経過した175時間後のがれきの中から、女性が救出されたという奇跡的な知らせがあった。救助活動を続ける救助隊に敬意を表するとともに、奇跡的な救出劇に少なからぬ慰めを覚える。
震源地から500キロ南に位置するレバノンでは「とてつもない恐怖を感じた」と、宣教団体ハート・フォー・レバノン(HFL)の関係者は言う。
同国は、震源地から離れていたので、マグニチュード4・8から5・0程度の地震にとどまり、シリアやトルコに比べれば甚大な被害はなかったものの、地震の揺れは人々にフラッシュバックを引き起こした。3年前のベイルートの爆発事故は、人々にとって今もトラウマなのだ。
「地震の起きた晩、ベイルートでは多くの人が外に出て、安全な場所を指差しながら走り始めました。恐怖のあまり失神した人の話も聞きました。その夜、多くの人が恐怖のあまり、広い駐車場で車中泊をしました」と前出のHFLの関係者は言う。
同団体のスタッフの半数は、家族がシリアにいる。シリアでも多くの人が行方不明のままだ。彼らの安否のために祈ろう。
レバノンは、10年にわたる悲惨な共産主義戦争と、外国からの介入、そして内部危機の繰り返しで苦境に立たされた。戦争や紛争は、人口の80パーセント以上もの人々を追いやり、2019年から21年にかけての大規模な抗議運動は、歴代レバノン政府に対するレバノン人の強い怒りを明らかにした。
経済停滞、失業、腐敗といった継続的な問題に、政府は解決策をもたらすことができないままなのだ。パンデミックの影響、20年のベイルートでの大爆発事故、進行中の物価高騰と物不足、これらはレバノンの苦境をさらに激化させている。
一方で、パレスチナ、イラク、シリアなどの国々から、100万人以上の難民がレバノンに避難している。
聖書に縁のあるこの地が、キリストの愛と慈しみと豊かな祝福を知ることができるよう祈ろう。またHFLをはじめ、彼の地で奮闘する宣教団体、兄姉たちの伝道が豊かな結実を見ることができるよう祈っていただきたい。
■ レバノンの宗教人口
イスラム 59・0%
プロテスタント 0・6%
カトリック 23・9%
正教関係 7・3%