クリスマスを前に多くの人出で賑わう東京・銀座で22日、東京福音センター主催の「東京メリエストクリスマス2022」が開かれた。同センターは、これまで貸し会議室などで集会を開催してきたが、9月に新会堂「ビジョナリーホール」を献堂。今年は自前の会堂で行う初めてのクリスマス集会となった。
集会では、聖歌隊が特別賛美を披露。その後、同センターを含め全国8つの教会で主任牧師を務めるほか、講演家、ラジオDJ、神学校教授、ゴスペルシンガーとして活躍する万代栄嗣牧師が、トークとライブを行った。
万代牧師は、学生時代にプロデビューの話もあったというほどの歌声の持ち主。この日は、「静かに眠れる」「O Holy Night」といったクリスマス定番の曲のほか、「冬の街角」「そんな神様です」などのオリジナル曲を熱唱。また、「愛と絆」をテーマにしたトークの内容に合わせて、福山雅治の「家族になろうよ」や小田和正の「この道を」といったポピュラー曲も数曲歌った。
病気を超える本当の愛
トークでは、間もなく世界的な感染拡大から3年がたとうとするコロナ禍に言及。感染防止のため病院が面会を厳しく制限したことで、94歳の義母を、最期を十分に見守れない中、天に送った経験を話した。
介護施設に入所した後も、子どもたちが頻繁に通い、家族との関わりが深かったという義母。しかし、コロナ禍が本格化する前に体調を崩して入院。これが最期となる可能性を感じた万代牧師は妻と、「たくさん『ありがとう』と言って、たくさん賛美歌を歌って、たくさん聖書の話やお祈りをして、お義母さんに『天国でまた会おうね』と言ってお別れしよう」と話していたという。
しかしコロナ禍がひどくなり、親族であっても面会がほとんどできなくなってしまった。病院側と何度も交渉し、万代牧師は最後の2日間に限り面会を許されたものの、その時は既に意識がほとんどない状態だった。聞こえているのかどうかよく分からない義母の耳のそばで、賛美歌を歌うことしかできなかったという。
この経験から、病気との闘いも大切だが、「(人は)もっと大きな愛で結び付いていなければいけないのではないか」と万代牧師。「病気にかかる、かからないかではなく、それを超える本当の愛がある。それを忘れてはいけないと思う」と話した。
自分の生き方をしっかりと選んで生きる
コロナ禍は、伝道活動にも影響を与えた。毎年行っていた海外伝道は、渡航が困難なため中止せざるを得ず、この3年間は「ブレーキのかかった」期間だったという。しかし一方で、どのように生きていくかを深く考える期間にもなったという。
国内では、コロナ禍であっても一度も集会を中止せず、一人でも来てくれるなら福音を語るというスタンスで活動を続けてきた。「自分にできることは限られているし、(自分は)小さな存在。しかしそうやって、自分のできる範囲のことで精いっぱい、神の僕(しもべ)として生きることが、私の人生なのだとよく分かった」
「幸せになるためには、何を選んで生きていくのか、覚悟のある選択が必要」。万代牧師はそう言い、「多様性の世界で選択肢は山ほどあるが、人生で選べるのは一つのいのち。自分の生き方をしっかりと選んで、精いっぱい生きていきたい」と話した。
キリストの愛に波長を合わせる
2022年は、ウクライナの戦争や安倍晋三元首相の銃撃事件、ワールドカップでの日本代表の活躍など、さまざまな出来事があった。万代牧師はこの1年間を振り返りつつ、こうした出来事や周囲のさまざまなものから影響を受ける人間の姿について話した。
「自分は自分だと言いながら、人間はそれほど自立していなく、何か強い影響力の中で波長を合わせている」。万代牧師はそう言い、映画やドラマなど、フィクションの物語でさえ、その中に人をだましたり、うそをついたり、人を傷つけたりする姿が描かれていれば、知らないうちに悪い影響を受けてしまうと話した。
その上で、神の御子であるイエス・キリストがこの地上に来られたのは、「闇があふれるこの世界で、どんなに罪や悪の力が大きくても、幸せを見いだすことのできる明確な事実を見いだすため」だと説明。イエス・キリストは、「心の土台」「魂の物差し」「寄る辺となる基準」だとし、「イエス・キリストの愛にあなたの波長を合わせませんか」と呼びかけた。