英国国教会(聖公会)は9日より始まった総会で、移民排斥などを訴える極右政党の英国国民党(BNP)への聖職者の入党を禁止することを圧倒的多数で可決した。
聖職者のBNP入党を禁止する提案は、信徒のヴァサンタ・グナナダスさんによって出され、賛成322、反対13、棄権20で可決された。
BNPは、世界各国からの移民が急激に増加する英国で「移民排斥」を掲げ、各方面から極右、ファシスト、人種差別主義者だと非難を受けている政党。その人種差別的な姿勢が危険視され、04年には英国の警察署長協会(ACPO)が、BNPを念頭に置いて、人種差別を支持する団体の構成員となることを禁ずる決定を打ち出すなどしている。
グナナダスさんは総会で、今回の決定がなされない限り、「BNPや同種の組織が我が国で大きな力を得て、教会が断固たる姿勢をとるべきときに弱くなってしまい、非難されることになる」と指摘した。
昨年にはBNPの約1万2000人分の党員情報が流出し、5人のキリスト教聖職者が党員であったことが明らかになり、内1人が英国国教会の引退牧師であったことが判明している。
今回の決定は、ローワン・ウィリアムズ・カンタベリー大主教や、ジョン・センタム・ヨーク大主教も支持している。ウィリアムズ主教は、今回の決定について「我々は人種差別について一般的に話し合うだけではなく、個々の政治的組織の名を挙げて話し合うべきだ」と、聖職者がBNPへ入党することを禁止することを明言化したことを評価した。
一方、ウガンダのバガンダ族出身のセンタム大主教は、「私はキリスト者となった日、他の部族に加えられたのだ。それは、イエス・キリストの部族であり、その部族の中ではみなが歓迎し、みなが招待され、みなが受け入れられる。それゆえ、ユダヤ人だとかギリシア人だとか、奴隷だとか自由人だとか、男だとか女だとか、そういったものはない。なぜなら、キリストにあってみな一つだからだ。だから、どうしてそのような部族(=BNP)のメンバーになることができるであろうか、あるいは(キリスト教の)メッセージと実際にはまったく相反するグループに所属することを求めるであろうか」と語った。