2001年9月11日の米同時多発テロ事件で崩壊したニューヨークの聖ニコラス・ギリシャ正教会が再建され、新聖堂の成聖式が4日、在米国ギリシャ正教会のエルピドフォロス大主教によって行われた。同教会は1916年、マンハッタン地区のダウンタウンに設立されたが、世界貿易センタービルの近隣にあったため、ビルの崩壊に巻き込まれ、聖堂が完全に破壊されてしまった。
同教会の再建は、再建場所をめぐる論争や資金難のため、長年停滞していた。しかし、2019年から非営利団体「聖ニコラス友の会」が再建を監督することになったことで、資金調達が進んでいった(関連記事:米同時多発テロ事件で完全崩壊した教会、今秋にも外装完成へ 資金調達100億円超に)。
新聖堂は、スペイン人建築家のサンティアゴ・カラトラバ氏によって設計された。カラトラバ氏は、世界貿易センタービル跡地に隣接するターミナル駅舎「オキュラス」の設計者として知られている。新聖堂のデザインは、トルコのイスタンブールにあるアヤソフィア聖堂や、同じくイスタンブールのコーラ修道院付属聖堂(現在はいずれもモスク化されている)など、ビザンツ時代の著名な建築物をベースにしている。
米宗教専門のRNS通信(英語)によると、聖ニコラス・ギリシャ正教会では正教会の奉神礼がフルサイクルで行われる予定だが、超宗派や無宗派の行事にも会場として場所を提供する予定という。