2001年9月11日朝、ハイジャックされた旅客機が突入した世界貿易センタービルの81階で、ジーン・ポッターさんは神の声をはっきりと聞いたと信じている。
米国史上最悪のテロ事件から15年目の記念日に、ジーンさんは米CBNニュースの取材に応じ、最初の旅客機が110階建ての世界貿易センタービル北棟の93階と99階の間に突入したとき、自身はその81階で働いていたと述べた。当局の調べによると、旅客機は北棟に突入し、爆発する前に建物の中心部まで達していた。
「突然、大きな爆発が世界貿易センタービルを揺さぶりました。そして私たちは文字通り、左右に揺り動かされました」
混乱のただ中で、ジーンさんは「これはあなたの(死ぬ)時ではない。私たちはあなたと共にいる。あなたの兄弟があなたと共にいる」と語り掛ける神の声を聞いたという。ジーンさんの兄弟は1999年に亡くなっていた。
炎がジーンさんたちのいた81階をのみ込もうとする中、ジーンさんと同僚は急いで階段を降りた。「階段を駆け降りている間、心臓が猛烈にドキドキしていました」
その後、神の声が再びジーンさんに語り掛けた。「あなたとダン(ジーンさんの夫)は祝福され、素晴らしい人生を送る。あなたは北に行くことになる」
「そして、私は緑の木々のようなものを見ました。これがすべてです。私は非常に緊張した状態でした。しかし神は、そんな私にメッセージを語り掛けてくださっていたのです」
ジーンさんは、神が常に共におられ、心に平安を与え、階段を降り続けるように促してくださったことを分かっていたという。
ジーンさんの夫、ダンさんは消防士で、テロ発生時には現場に近いニューヨークのスタテン島にいた。この最悪のニュースを聞いたダンさんは、ジーンさんの無事を確かめるため、現場に急いだ。その時のダンさんはまだ、北棟の崩壊前にジーンさんが脱出に成功していたことを知らなかった。
世界貿易センタービルに到着したダンさんは、ビルの南棟、そしてその後、北棟も崩れ落ちるのを目撃した。
ダンさんの上には、がれきとコンクリートの塊が降ってきた。しかしダンさんは、神が生かしてくださり、大きな打撃を受けることは決してなかったという。
灰まみれになりながら、ダンさんはついにジーンさんと再会した。それは、以来2人が決して忘れることのできない瞬間となった。
ジーンさんはダンさんに「どこにいたの?」と尋ねた。ジーンさんは、当時の場面を思い起こしながら、「彼は『君は知りたくないと思うよ』って言いました。そして私たちは抱き合いました。あんな悲惨な状況で無事に再会できるなんて、本当に信じられませんでした」と語った。「私たちはイエス様が私たちの人生にしてくださったことをとても感謝しています」
9・11を生き延びたジーンさんとダンさんの驚くべきストーリーは、ジーンさんの著書『By the Grace of God, A 9/11 Survivor's Story of Love, Hope, and Healing(神の恵みによって―9・11の生存者の愛と希望と癒やしのストーリー)』にまとめられている。