世界最大の聖書アプリである「YouVersion(ユーバージョン)」は1日、2021年に同アプリ上で最も人気のあった聖句を発表した。
発表(英語)によると、11月にインストール数が5億件を超えたユーバージョンで今年、シェア数、ブックマーク数、ハイライト数の合計が最も多かった聖句は、新約聖書のマタイによる福音書6章33節「何よりもまず、神の国と神の義を求めなさい。そうすれば、これらのものはみな加えて与えられる」(新共同訳)だった。
ユーバージョンの開発者であるボビー・グルーネワルド牧師は、「今年も聖書に対する関心が高く、励まされています。これは、人々が疑問の答えを神と聖書に求めていることを意味しています」とコメント。「今年の聖句も、神を求め、神をもっと知りたいと願うユーバージョン・コミュニティーの心を表したものでした」と語った。
昨年から続く新型コロナウイルスのパンデミックも、ユーバージョンの利用状況に大きな影響を与えた。パンデミック前に最も利用が多かったのは、主日礼拝が行われる日曜日で、他の曜日よりも20パーセント余りも多かった。しかし、ロックダウンなどにより教会で対面礼拝ができなくなり始めた昨年3月には、平日の利用が10パーセント増加し、その後数週間にわたって増加傾向が続いたという。対面礼拝が再開すると、日曜日のピークは戻ってきたが、それでも平日の利用が低下することはなかった。2021年はパンデミック前と比較して、月曜日から土曜日までの利用が24パーセントも増加したという。
地域別では、インストール数、利用状況ともに2021年に最も急速に成長したのは、中部アフリカと南アジアだった。これらの地域では、聖句のシェア、動画の再生、検索機能の利用が年間を通じて高水準だった。
2021年にユーバージョンで読まれた聖書の章数は558億章、音声再生された章数は82億章に上った。また、聖句がハイライト、あるいはブックマークされたり、聖句にノート(メモ)が加えられたりした件数は24億件、アプリ内で提供されている「聖書を読むための読書プラン」の完了回数は14億件に上った。さらに、シェアされた聖句は5億3500万節、アプリ内の動画の再生回数は5億回に上った。
ユーバージョンは昨年、新たに「祈り」機能が追加され、自身の祈りのリストを作ったり、定時に祈るようリマインドしたり、祈りをシェアしたりできるようになった。今年は、4720万件の祈りが作成され、170万件の祈りがシェアされ、祈ったことを示すボタンは2億1900万回押された。今年は新たに、短い聖句を示して毎日の祈りを導く「ガイド付きの祈り」機能(日本語は未対応)も追加され、この1年間に3840万回使用されたという。
2013年に青少年伝道団体「ワンホープ」と共同開発した「子ども聖書アプリ」は今年、新たに7言語が追加され、対応言語は67言語となった。インストール数は世界で7870万件を超え、聖書の主要な物語をアニメーションで読むことができる「ストーリー」は今年、1620万回利用された。
この他、ユーバージョンは、アプリの開発元である米メガチャーチ「ライフチャーチ」と協力して、17年から聖書翻訳事業の支援活動も行っており、これまでに6万2千人以上から寄付が寄せられ、聖書翻訳事業のために700万ドル(約8億円)の資金を調達することに成功したという。
ユーバージョンは08年、ライフチャーチが、iOS(iPhone などで使われている基本ソフト)で利用可能な200のアプリの1つとして開発した。公開時に提供された聖書は2言語15訳のみだったが、現在では1750言語以上、2600訳以上の聖書がすべて無料で利用できる。またこのうち、700言語以上、1100訳以上の聖書で音声再生機能も提供されている。