世界最大の聖書アプリ「ユーバージョン」は2日、旧約聖書のイザヤ書41章10節が、2020年に最も人気のあった聖句だったと発表した。また今年は、新型コロナウイルスが世界的に猛威を振るったことなどにより、アプリ内の検索件数が前年に比べ80%増え6億件近くに上ったという。
ユーバージョンが毎年発表する「今年の聖句」は、ブックマーク数やシェア数、ハイライト数などの合計が最も多かった聖句。2020年の「今年の聖句」に選ばれたイザヤ書41章10節には、神の力と助けに関する約束が書かれている。
「恐れてはならない、わたしはあなたと共にいる。驚いてはならない、わたしはあなたの神である。わたしはあなたを強くし、あなたを助け、わが勝利の右の手をもって、あなたをささえる」(イザヤ41:10、新共同訳)
今年、ユーバージョンで読まれた聖書の章数は436億章で、音声再生された章数は75億章だった。さらに、アプリ上で提供されている聖書学習の「プラン」の修了回数は計14億回に上り、聖書の利用が「アプリ史上最高レベル」に達したという。
ユーバージョンの開発者であるボビー・グルーネワルド牧師(米ライフチャーチ)は声明(英語)で、「今年は多くの人々が壊滅的な喪失感、孤独感、恐怖に直面し、困難な年となりました」とコメント。「2020年は多くの人が忘れたいと話す年ですが、私たちは、答えを探している多くの人々を助けるために、神が聖書アプリをどのように用いられたかを思い起こす年だと考えています。あらゆる苦難の中でも人々は神を求め続け、力、平安、希望を求めて聖書に目を向けています」と語った。
ユーバージョン内で検索された言葉は、今年の世相をよく反映したものだった。
2020年が始まって間もなく、最も多く検索された言葉は「新年」「今年の聖書」「信仰」「断食」などだったが、3月中旬から新型コロナウイルスの感染が拡大し、各地でロックダウン(都市封鎖)が始まると、「恐怖」が検索語のトップになった。しかしパンデミックが続く中、その後週を追うごとに急上昇していった検索語は「平和」「希望」「信仰」などの言葉だった。
また、今年のトレンドになった検索語の一つに「正義」があった。5月下旬に検索語のトップに躍り出、8月下旬と9月下旬にも再び上昇した。この他、年間を通して多く検索された言葉には「癒やし」「平和」「愛」などがあった。
「これら上位の検索語は、今年一年の重要な時期に、世界の人々が心の中で何に重荷を置いているのかを本当によく示しています」とグルーネワルド牧師は言う。「これは、人々が2020年に直面した困難な状況と格闘する中で、どのように神を求めたかを示すものであり、その点で喜ばしいものです」
また今年は、宣教団体「ワンホープ」と協力して開発した「こども聖書アプリ」も記録的な成長を遂げた。
「2020年だけで2200万台以上のデバイスにインストールされ、インストール数は全世界で計6千万台を超えました。世界の子どもたちは今年、『こども聖書アプリ』の(旧約から新約までの)ストーリーを1億7千万回以上完了しており、これは2019年の記録を90%も上回るものです」
今年4月は、新型コロナウイルスの感染防止のため、多くの教会が閉鎖措置を取った。そのため、受難週(聖週間)やイースター(復活祭)であっても、対面式の礼拝を行えない教会が多く、この時期のアプリ利用率は前年に比べ54%も増加した。
ユーバージョンは2008年、米メガチャーチ「ライフチャーチ」が、iOS(iPhoneなどで使われている基本ソフト)の「アプリストア」で利用可能な200のアプリの1つとして開発した。公開時に提供された聖書は2言語15訳のみだったが、現在では1350言語以上、2千訳以上の聖書が利用できる。昨年の「今年の聖句」は、フィリピの信徒への手紙4章6節の「どんなことでも、思い煩うのはやめなさい。何事につけ、感謝を込めて祈りと願いをささげ、求めているものを神に打ち明けなさい」(新共同訳)だった。