皆さん、こんにちは。ビジネス牧師の中林義朗です。今日は「なぜマザー・テレサはそう言ったのか?」という話をしていきたいと思います。
1981年、マザー・テレサが日本を訪問したことを覚えていらっしゃる方が多いと思います。私も何度もこの話を聞きまして、とてもショッキングな内容でありましたので、今日はもう一度シェアをさせていただきたいと思います。彼女が日本に来られて、日本を回った後、帰りの飛行場で記者の方に感想を聞かれたそうです。「日本という国はどんな国でしたか」と。するとマザー・テレサは、「日本という国は本当に先進国であり、とても豊かな国です。世界で一番貧しい国はインドです。そして日本は世界の中でも裕福な国の一つでしょう。しかし、日本は世界一、心が貧しい国です」という言葉を残したそうです。
「日本は心が貧しい国である」。なぜ彼女はそんなことを言ったのでしょうか。何を見てそういうふうに思ったのでしょうか。一つのエピソードを聞いたことがあります。彼女が日本を回っていたとき、いろんな企業を回って、インドでの貧しい人々を助ける働きについて、「助けていただきたい。献金をしていただきたい」と話をしたそうです。すると、ある日本の企業の人が、「喜んで!マザー・テレサさん、あなたがおっしゃることなら、いくらでも援助しましょう。その代わりに、私たちの会社のために何をしてくださるんですか」と言ったそうです。するとマザー・テレサは、「あなたの会社からは一銭も要りません。何の助けも必要ありません」と言って帰られたのだとか。どう思いますか。日本が世界一心が貧しい国とマザー・テレサが言われた理由の一つを、このエピソードは表していると思います。
聖書的にはこれをどう理解したらよいのでしょうか。私はこんなふうに説明をしたら分かりやすいのではないかと思います。聖書の中には3種類の愛があると言われています。一つはエロスの愛、一つはフィリアの愛、そして一つはアガペの愛。
エロスの愛というのは自己中心の愛で、Me, me, me! 自分のことばかり、自分を満足させることばかりを考えています。エロ本とか、エロビデオなんていう言葉はここから来たのです。自分のことしか考えず、人に分け与えることは一切しない自己中心的な愛です。
もう一つの愛はフィリアの愛。日本人はこれがすごく得意なので、礼儀正しい国であると言われます。これはどういうことかといいますと、You and me の行って来いの愛です。これだけしてあげたんだからこれだけしてくれてもいいだろう。これだけしてもらったからお返しにという具合です。「お返し文化」という意味では、日本は世界一かもしれませんね。先ほどのエピソードの企業の人も、フィリアの愛の感覚で、マザー・テレサに「私たちの会社のために何をしてくださるんですか?」と話をしてしまったのだと思います。
ところが世界というのはやっぱり広いのです。世界の多くの国では、聖書を理解し、そして聖書を土台にして成り立っていて、神が第一であり、私たちが神様から命を頂いて生かされていることを知っています。神様によって与えられたビジネスと考え、神様によって与えられた利益を必要な人たちに還元していくということを実践しています。また、そうすることによって、さらに神様が私たちを祝福してくださるのです。これは、行って来いの愛とはまったく違います。アガペの愛というのは、神様の愛を受けて、自分も愛されたのだからと相手に対しての見返りを一切期待せず人に分け与えます。この考え方がアガペの愛です。そして、神様が必ずこの働きに報いてくださり、違う人を使って自分を祝福してくださいます。天地の創造主なる神と聖書を理解した世界の人々は、こんなことを信じて生活し、ビジネスを行っているのです。
なぜマザー・テレサは、日本は貧しい国だと言ったのでしょうか。日本では、このアガペの愛を理解できずに、フィリアの愛やエロスの愛に生きている人が多いと、マザー・テレサは気付いたのではないでしょうか。
マザー・テレサがこんな言葉を言われました。
思考に気を付けなさい、それはいつか言葉になるから。
言葉に気を付けなさい、それはいつか行動になるから。
行動に気を付けなさい、それはいつか習慣になるから。
習慣に気を付けなさい、それはいつか性格になるから。
性格に気を付けなさい、それはいつか運命になるから。
今日の「ビジネスと聖書一口講座」は、「なぜマザー・テレサはそう言ったのか?」こんなタイトルで話をしてみました。また次回、お会いいたしましょう。
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