現代社会とのつながりを意識しながら聖書66巻を一つずつ解説した電子書籍『聖書がひも解く世界の歴史』を1年前に出版したシンガポール在住の戸塚司郎さん(ペンネーム)がこのほど、同書の改訂版を出版した。改訂版では、ヨハネの黙示録全22章と、へブル人への手紙全13章について、各章ごとの解説を新たに加筆。直近1年間の激動する世界情勢を踏まえた内容にアップデートした。
想定読者は「聖書をおとぎ話として一蹴するような理屈っぽい日本人」。新型コロナウイルスの影響が長引く中、少しでも家族や友人に福音を伝えたい。でも、時代や文化の違いから、なかなか聖書の素晴らしさを伝えられない――。そんなクリスチャンの一助になればと戸塚さんは願っている。「コロナ禍で生きる希望を失いかけている日本の若者や経済的な困難にある方、日本を取り巻く国際情勢に不安を覚える方など、一人でも多くの人に読んでもらい、神の愛に触れ、隣人愛をもって平安に過ごせるようになってもらえれば」と話す。
現在、シンガポール日本語キリスト教会に通う戸塚さんは、1964年生まれの57歳。大学卒業後に銀行に就職し、営業やマーケティングで海外勤務を重ね、現在は国際会計事務所に勤務している。50歳を過ぎてから信仰を持ったという。
執筆のきっかけは、妻への伝道だった。筆を進めるうちに、日本に暮らす家族にも福音を伝えたいと思いは広がっていった。そんな矢先の昨年10月、87歳になる母親が老衰で亡くなった。「ノンクリスチャンの母親に献本する希望は2カ月の時間差でかないませんでした。愛する兄弟姉妹には、有限な時間の中で一分一秒を大切に伝道してほしいという思いで書き上げました」
教会での充実した聖書の学びを軸に、人類の歴史や科学と聖書とのつながりについて独自に研究を重ねた。日本の義務教育ではほとんど取り扱われることのない聖書について、福音書記者であるルカの手法を参考に、史実の積み上げに基づいて理性に語り掛けることを意識した。「ユダヤ民族の特殊性や直近の国際情勢を交えながら終末期に向かっている状況を解き明かすことで、現代人にも聖書は大きく関わりのある書物であることを実感してもらえるような内容にしようと心掛けました」
改訂版は、電子書籍を専門に扱う「理想書店」で購入できる。電子書籍のため、初版の内容をアップデートする形で販売されている。聖書の登場人物や時代の流れが分かりやすいよう、適宜、図表が用いられており、第1章「聖書を読む際の基礎知識」の途中までは無料で試し読みができる。
■ 戸塚司郎著『聖書がひも解く世界の歴史』(電子書籍、ボイジャー・プレス)