米国のカトリック司教らが、中絶を支持するカトリック政治家の聖体拝領を制限する方向に傾いている。
ジョー・バイデン米大統領をはじめとする中絶推進派の政治家の聖体拝領拒否に向けた議案が18日、米国カトリック司教協議会(USCCB)の春期総会(英語)で承認された。結果は賛成168、反対55、棄権6で、オンラインで3日間にわたって行われた総会の終盤で発表された。
承認された議案の内容は、聖体の意義に関する正式な声明の草案作成を教理委員会が行うことを認めるものにすぎないが、バイデン氏をはじめとする中絶を支持・推進し続けるカトリック政治家への反発と解釈されており、こうした政治家の聖体拝領拒否が盛り込まれる可能性が伝えられている。声明の草案は、11月に対面で開催される予定の秋期総会にも提出される見込みで、この夏にかけて内容が練られることになる。
こうした動きに対し、反対者らは米国で政治的緊張が高まる中、教会が党派的に見られることに警告を発している。一方、支持者らは、カトリック教会の生命尊重(プロライフ)の姿勢に反する行動を取る者に対して厳しい態度で臨むことを望んでいる。
慎重な立場を示すロバート・マッケルロイ司教(カリフォルニア州サンディエゴ教区)は、米政治専門サイト「ポリティコ」(英語)に対し、この計画を進めた場合、教会は聖体拝領を「武器化」してしまう危険性があると述べた。
一方、賛成派のドナルド・ハイング司教(ウィスコンシン州マディソン教区)は、バイデン政権が「歴史上最も過激な中絶推進政策」を進めていることについて、司教らが方向性を示すことを信者は求めていると話す。
聖体について、カトリック教会トップのローマ教皇フランシスコは、「聖人の報酬」ではなく「罪人のパン」だと述べている。
また、バチカン(教皇庁)教理省長官のルイス・ラダリア枢機卿は、USCCBの議長に宛てた5月の書簡で、この動きが「司教団の結束よりも不和の原因」になり得るとし注意を促している。