ブラジル南部で新たな巨大キリスト像の建設が進んでいる。完成すれば、有名なリオデジャネイロのキリスト像を超える見通しだ。
キリスト教は信者23億人を抱える世界最大の宗教で、世界各地の都市には観光客を引き付ける古い教会や歴史的な大聖堂、イエス・キリストや聖人の像が存在する。ブラジルではこれまでも、リオデジャネイロのコルコバードの丘に立つキリスト像を見るために多くの人々が訪れてきたが、今は同国2つ目となる世界的なキリスト像の完成を心待ちにしている。
建設されているのは「庇護(ひご)者なるキリスト」と名付けられた像で、南部リオグランデドスル州エンカンタドで2019年から建設が進められている。完成すれば、約90年前に建設されたリオデジャネイロの「贖(あがな)い主なるキリスト」像よりも巨大な像となる。
「贖い主なるキリスト」像は、土台を含め高さは約124フィート(約38メートル)、大きく開いた両手の幅は約91フィート(約28メートル)だが、「庇護者なるキリスト」像は高さ約141フィート(約43メートル)、両手の幅約118フィート(約36メートル)となる予定だ。また、像の内部にはエレベーターが設置され、観光客は像の頂上近くにある展望台まで上ることができるようになる。
仏ニュースチャンネル「フランス24」(英語)によると、「庇護者なるキリスト」像は、新型コロナウイルス感染症との合併症により、3月に81歳で亡くなったエンカンタドのアドロアルド・コンザッティ市長の発案による。息子のギルソン・コンザッティ氏は、像が公開される日は「祝福と祈りの日」になるだろうと話している。
建設予算は35万ドル(約3800万円)で、その全額が寄付によって賄われている。像は、頭部と外方向へ伸ばされた両腕が最近取り付けられ、今年後半には完成する見込み。完成すれば、共に約172フィート(約52メートル)あるポーランド西部シフィエボジンの「王なるキリスト」像とインドネシア・スラウェシ島の「祝福なるイエス・キリスト」像に次ぐ、世界で3番目に高いキリスト像となる。
一方、メキシコ・ニュース・デイリー(英語)は2018年、メキシコの人気俳優であり敬虔なカトリック信者であるエドゥアルド・ベラステーギ氏が、同国東部タマウリパス州シウダービクトリアに、さらに巨大なキリスト像を建設するため、建築家のフェルナンド・ロメロ氏と雇用契約を結んだと伝えている。シウダービクトリアはメキシコで最も危険な地域の一つとされており、殺人事件による犠牲者は人口10万人当たり83・32人とされている。この像は「平和のキリスト」と名付けられ、「贖い主なるキリスト」像の約2倍の高さとなる252フィート(約77メートル)を計画している。しかしこれまでのところ、プロジェクトの状況についてのさらなる詳細は発表されていない。