3月4日、 アルジェリアの裁判所は、海沿いの州オランの牧師セイギル氏とハミミ氏を有罪として、懲役2年と50万DNL(ディナール、およそ40万円)の重い罰金を科した。
罪状は、出版物を配布してイスラムの信仰を損なったとするものだ。セイギル氏は、キリスト教書店の店長であり、ハミミ氏は販売員であった。
同書店は2017年に、ワリ知事の命令により閉鎖されている。同店をめぐる訴訟は08年に始まり、17年、18年、19年と4回繰り返されており、いずれも店側が勝訴している。
18年と19年の判決では、書店の閉鎖命令を事実上取り消す判断が下されたが、ワリ知事はこの判決に従わず、閉鎖命令は解除されないまま今に至っている。一連の訴訟は、ワリ知事側の個人的な報復感情に基づく動機が強く疑われる。
セイギル牧師は「私たちは戦いを続け、行政裁判所に介入を求めました。ここでも私たちは成功し、17年10月13日に判決が届き、50万DNLの金銭的な補償とともに、封印の解除と書店の再開を命じるものでした。残念ながら、ワリは司法の命令に従わず、4年も不当に書店の閉鎖を継続しています」と述べた。セイギル氏と教会は、有罪判決を不服として上訴している。
アルジェリアでは06年から、非イスラム教徒の活動を規制する法律を施行しており、イスラムの信仰を損なうことを目的としたあらゆる資料の出版や配布を刑事罰化している。罰則は2年から5年の懲役と50万から100万DNL(40万円から80万円)の罰金だ。
国民の97%以上がイスラム教徒で占められるアルジェリアでは、イスラム教が国教となっているが、2000年以降は何千人ものイスラム教徒がキリスト教徒に改宗した。当局はキリスト教徒の数を5万人と見積もっているが、実数はその倍以上だとする見解もある。
アルジェリアでは、3年前に自分のフェイスブックにムハンマドの風刺を投稿したキリスト教徒が侮辱罪で有罪とされ、懲役5年と罰金10万DNL(8万円)が科されたが、セイギル氏らへの判決は、その事件後2カ月もたたないうちに下された。
アルジェリアの兄姉らが、迫害の逆風に負けず、福音の証人として立派に使命を全うできるように祈っていただきたい。
■ アルジェリアの宗教人口
イスラム 97・3%
プロテスタント 0・3%
カトリック 0・01%