ロシアがウクライナのクリミアを併合してから実に7年の歳月が流れた。国連と米国とは、ロシアによるクリミア併合を不当としてこれを認めていない。ロシア側は“併合”ではなく、クリミアは常にロシアの一部だったとして譲らず、お互いの主張は平行線をたどっている。しかし忘れてはいけないのが、実際の渦中で生活を送っているのは政治家らではなく、クリミア人なのだ。
現在、クリミアにはロシア人とウクライナ人が混在している状態が続いており、それによって少なからぬ緊張感や幾つかの不満が生じている。最も大きな打撃となっているのは、産業の主軸である観光業の衰退や、欧米諸国による経済制裁だ。それによってクリミアの中小企業は経営難に陥り、住民ら一般生活者は以前にも増して困窮している。
ところがそのような社会不安が増す中にあって、クリミアの教会はかつてないほどの活況にあるというのだ。まさに"光はやみの中に輝いている"(ヨハ1:5)。いつの時代もそうだが、福音が福音として、その存在をいよいよ明らかにするのは“やみの中に輝く光”としてだ。混乱の続くクリミアで、福音は人々に希望の光を差し伸べている。この希望は、決して人間が与えることも奪うこともできない神からの希望であり、永遠を保証し約束するものだ。
クリミアの教会は、教会がよって立つべき神の言葉が提示する希望の力を武器に、混乱と政情不安渦巻く地で真正面から勝負している。主が、クリミアの兄姉らの戦いにさらに勝利を加えられ、勢いを増し加えてくださるように祈っていただきたい。
■ ウクライナの宗教人口
ウクライナ正教 61・2%
新教 5・8%
旧教 10・1%
イスラム 1・1%
ユダヤ教 0・3%
無神論 19・5%