【CJC=東京】ロシア正教会の最高指導者、モスクワ総主教のアレクシー二世が12月5日、モスクワ郊外の自宅で死去した。同教会が発表した。79歳。死因は明らかにされていないが、心臓手術を受けたといわれていた。ノーボスチ通信によると死因は心不全。正教会は6カ月以内に新しい総主教を選出する。
1929年2月、エストニアの首都タリン生まれ。正教聖職者だった父の影響で信仰を深め、スターリン体制下の47年、レニングラード(現サンクトペテルブルク)の神学校に入学。61年に聖職者になり、86年レニングラード・ノブゴロド府主教。ソ連崩壊直前の90年6月に第15代のモスクワ総主教となった。
ソ連崩壊後は故ボリス・エリツィン、ウラジーミル・プーチン両政権と、「正教会は政権の一機関」ともいわれるほどに良好な関係を築き、「大国復活」を掲げたプーチン政権が国民の精神的求心力として正教会をてこ入れするなかで影響力回復に努めた。スターリン時代に破壊されたモスクワ中心部のキリスト救世主大聖堂の再建も果たした。
2007年にはプーチン前大統領の仲介でロシア革命をきっかけに分裂した国内外のロシア正教会が80年ぶりに和解した。
カトリック教会に対して強い警戒感を示し、前教皇の故ヨハネ・パウロ二世や現教皇ベネディクト十六世には「改宗意図がある」と非難し、会談には消極的だった。
インド訪問中のメドベージェフ大統領は6日からのイタリア訪問を延期し帰国を決めた。プーチン首相は「国家に大きく貢献した人物だった」と述べている。