4割以上の米国人が「米国の教会は人種的に分離され過ぎている」と考えていることが、米キリスト教世論調査機関「ライフウェイリサーチ」の調査で明らかになった。
調査は昨年9月、1200人の米国人成人を対象にオンラインで行われた。調査報告(英語)によると、米国人の42%が「米国の教会は人種的に分離され過ぎている」ことに同意し、「同意しない」は36%、「よく分からない」は22%だった。一方、この結果は人種間で差があり、教会に人種的分離があるとするのは、白人が38%だったのに対し、黒人は52%と半数を超えた。
「人種問題は進展した」と考える米国人は46%だった。一方、そう考えないとする米国人も46%おり、拮抗(きっこう)する形となった。しかし2014年の調査では、「人種問題は進展した」と考える米国人は74%に及び、この6年間で28ポイントも減少した。進展したと回答する人は、白人が51%で最も多く、逆に黒人は66%が同意しないと回答した。
ライフウェイリサーチのスコット・マコーネル所長は結果を受け、「14年は電話調査だったのをオンライン調査に変更したため、この減少した(人種問題に対する)楽観主義が、実際の感情の変化なのか、それとも率直さが増した結果なのかは断定的には言えません。いずれにしても、人種問題に関する楽観主義は以前考えていたよりも低いものとなりました」と述べた。
16年の米大統領選でドナルド・トランプ氏が勝利した後、米国の人種問題が「より緊張した」と回答した米国人は58%に上り、「変化はない」(18%)、「改善した」(11%)、「分からない」(13%)を大きく上回った。
この他、10人に7人の米国人(69%)が人種的多様性は米国にとって良いことだと答える一方、4分の1(23%)はそうではないと答えた。
マコーネル氏は、「これは牧師が信徒に影響を与えている分野のようです。17年のライフウェイリサーチの調査では、プロテスタントの牧師の93%が、すべての教会が人種の多様性を達成するように努力すべきだと答えています。より頻繁に礼拝に出席している人たちは、多様性をわが国の利益と見なしている可能性が高いのです」と語った。
しかし、ライフウェイリサーチが1月に発表した別の調査報告(英語)によると、説教で人種的和解について語ることを会衆が歓迎すると考える米国の牧師は、16年は90%に上ったのに対し、20年は74%にまで減少した。一方で、会衆が人種的和解に関する説教を歓迎しないだろうと回答した牧師は、16年は7%だったのに対し、20年は17%に増加した。人種別では、会衆が人種的和解に関する説教を歓迎するだろうと考える黒人牧師が93%なのに対し、白人牧師は73%、その他の人種の牧師は74%だった。
同様に、バーナグループが昨年発表した調査報告(英語)によると、米国には人種問題が「間違いなく」存在すると考える米国の白人クリスチャンは、19年は40%だったのに対し、20年は33%にまで減少した。反対に黒人クリスチャンは、19年は75%だったのに対し、20年は81%に増加。ヒスパニック系も54%から55%に微増しており、クリスチャンの間でも人種問題に対する意識に人種間の差が見られた。