女性の音声のみで収録された初のオーディオ聖書がこのほど完成した。刑務所伝道などを行っている米宣教団体が、虐待経験のある女性たちと接する中で必要性を認識し、制作したという。
完成したのは、米宣教団体「カーレッジ・フォー・ライフ」(CFL、「生きるための勇気」の意)による「CFL聖書」。12人の女性たちがニューリビング訳(NLT)の聖書全巻を朗読した音声を無料で聴くことのできるアプリ版の聖書だ。昨年、新約が完成し、このほど旧約の収録も終わり聖書全巻がそろった。プロジェクトには、グラミー賞に2度ノミネートされた経験のある音楽プロデューサーのアミック・バイラム氏も参加している。
CFLの創設者で聖書教師のアン・ホワイト氏によると、女性の音声のみによるオーディオ聖書は、刑務所伝道をする中で着想を得たという。
「20万人という、小さな都市の人口に相当するほどの女性たちが刑務所で生活しています。彼女たちは悪い選択をしたのですが、その時、彼女たちの周りには虐待する男性たちもいたのです。危険な状況にある女性たちと関わると、女性の声は彼女たちに虐待者の声を思い起こさせないことが分かります」
ホワイト氏自身も幼少期に虐待を経験したことがあり、CFLはホームページ(英語)で次のように説明している。
「過去に虐待を受けた経験がある場合は特に、女性は女性と親しくなります。危険な状況にある女性や少女が、薬物乱用やトラウマ、精神衛生上の問題から回復するのを助ける最善の方法は、性別に特化したプログラムを使用することだということが、広範な研究と臨床経験から証明されています。それは、女性に生まれつき、人を育てる性別としての傾向があり、女性の声はしばしば、思いやりがあり、理解があり、脅威を与えない助け手として認識されやすいからです」
ホワイト氏は昨年のクリスチャンポストとのインタビュー(英語)で、これまでに出会ってきた女性の多くが、男性による何らかのトラウマを経験していたと語っている。
「虐待は多くの場合、10代の頃に受けたもので、そのトラウマは今も残っています。男性の声を聞いただけで、潜在意識を引き起こすこともあります。だからこそ、性別に特化した治療を行うことが重要なのです」
「男性もまた女性の声に親しみを持ちます。なぜなら、彼らもまた虐待を受け、父親のいない家庭の出身であることが多いからです。彼らと福音を分かち合ったり、キリストについて語ったりした人がいたとしたら、それはおそらく祖母やおばなどの女性だったはずです」
CFLは米国人の聖書離れにも触れ、次のように述べている。
「米国人の半数以上が聖書をほとんど読んだことがなく、そのうち33パーセントは聖書をまったく読んだことがありません。米国人の30パーセント近くが、聖書を読む時間がない、ほとんど本を読まない、あるいは聖書を持っていないと答えています。女性の音声によるオーディオ聖書はこうした課題に挑戦するものです」
CFL聖書は無料で、iOSとアンドロイドに対応している。ダウンロードはこちら(英語)から。