バチカン(ローマ教皇庁)は7日、教皇フランシスコ(83)が来年3月5~8日に4日間の日程でイラクを司牧訪問すると発表した。カトリック教会のトップである教皇がイラクを訪問するのは、これが初めて。また、新型コロナウイルスの影響により教皇はこの1年、海外訪問を控えており、実現すれば昨年11月の訪日以来の海外司牧訪問となる。
発表(英語)によると、教皇は首都バグダッド、アブラハムの故郷とされるウル平原、クルド人自治区の主都アルビル、2017年まで過激派組織「イスラム国」(IS)に占拠されていた同国第2の都市モスル、同じくISに占拠されていたキリスト教徒が多く住む都市カラコシュとニネベ平原を訪れる。
詳細な日程は今後発表されるが、新型コロナウイルスの感染状況次第では変更の可能性もあるという。
公営のバチカン・ニュース(英語版)によると、教皇はかつてからイラク訪問を希望していた。19年6月にカトリック系支援団体関係者と面会した際には、今年イラクを訪問する計画であることを伝えていた。
歴代教皇では、先々代の教皇ヨハネ・パウロ2世が1999年末ごろのイラク訪問を計画。数カ月にわたって交渉が行われていたが、当時のサダム・フセイン大統領が訪問延期を決め、最終的には実現しなかった。
イラクのカルデア典礼カトリック教会総大司教であるルイス・ラファエル・サコ枢機卿は、教皇の訪問について、キリスト教徒だけでなくイスラム教徒からも熱狂的に歓迎されるだろうとコメント。中東の衛星放送局「アルジャジーラ」(英語)によると、イラク政府も教皇の訪問は「歴史的な出来事」になると歓迎。同国外務省は「イラクとこの地域全体に対する平和のメッセージを象徴するもの」と述べた。