パキスタン東部のパンジャブ州で、若いキリスト教徒の女性がイスラム教徒の男に射殺される事件があった。女性は事件の数日前、男からイスラム教への改宗を伴う結婚を申し入れられ、断っていたという。
カトリック系のUCAN通信(英語)によると、事件は11月30日午前9時36分ごろ、同州北部の都市ラーワルピンディーのバス停で発生。ムハンマド・シェフザドという名のイスラム教徒の男が、ラーワルピンディーからそう遠くない首都イスラマバードのパキスタン医科学研究所付属病院に向かう途中だったソニア・ビビさん(24)の頭部に数発、銃を発砲して殺害したという。ビビさんの葬儀は事件後、その日の内に営まれたという。
キリスト教慈善団体「エイド・トゥー・ザ・チャーチ・イン・ニード」(ACN)の英国支部(英語)によると、ビビさんは、共犯者とされるファイザンという名の男に小型バイクに乗せられ、シェフザド容疑者の元に連れてこられたという。ファイザン容疑者はすでに逮捕されているが、シェフザド容疑者は逃走中で警察が行方を追っている。
ビビさんの父親であるアラー・ラカー・マシさんは、シェフザド、ファイザン両容疑者を非難して次のように語った。
「シェフザドは私の娘をこの5カ月間追い回していました。彼は自分の母親を私たちの家に遣わして結婚の申し入れをしてきました。しかし、彼らはイスラム教徒で私たちはキリスト教徒。だから私は申し入れを断りました」
「シェフザドは私の娘を殺すと脅迫していました。ファイザンはよく彼と一緒に娘を追い回していました。彼女は結婚を断ったから殺されたのです」
また、米迫害監視団体「国際キリスト教コンサーン」(ICC、英語)には次のように語っている。
「事件の数日前も、ソニアはシェフザドから嫌がらせを受けました。彼女は献身的なクリスチャンであったので、イエス様を裏切らず、自分の信仰のために命を犠牲にしました。私たちは嫌がらせを受け、訴えを取り下げるよう圧力を受けています。しかし私は、犯人を法の裁きにかけることを望んでいます」
UCAN通信によると、ビビさんは6人きょうだいの一番上の子で、家政婦として働いていた。母親のテレサさんは「私は2年前に右腕を感電により負傷し、家政婦の仕事を辞めました。娘はまるで息子のように懸命に働いていました」と話す。
パキスタンでは2018年にも同州北東部の都市シアールコートで、家政婦だったキリスト教徒のアズマ・ヤクーブさんが、改宗を伴う結婚を断ったところ、結婚を申し入れていたイスラム教徒の男に焼き殺される事件が発生している。