【CJC=東京】聖地エルサレムの聖墳墓教会はキリスト教各派の共同管理となっているが、権限をめぐる対立が絶えず、11月9日にもアルメニア使徒教会とギリシャ正教会の聖職者間で乱闘騒ぎを引き起こしているが、問題は観光客の急増に安全対策が追い付かないことの方が深刻だ。
非常口の不足が最も深刻で、一時に1000人以上の観光客が詰め掛けた時に、燭台が倒れて火事になったら、狭い出入り口は後から詰め掛けた人と押し合いになって惨事になる、と現地観光案内者は予測する。
イエスが十字架に掛けられたとされるゴルゴタに通じる急勾配の大理石階段も、巡礼者が足を滑らし危険だ、と言う。
解決策は、出口新設や入場時間の延長だが、管理権を主張するカトリック教会、東方正教会、アルメニア使徒教会、コプト正教会、シリア正教会の合意を得るのは困難。
聖墳墓教会は現在、各派の共同管理となっており、1日中いずれかの教派がミサなどを行っている。
エチオピア正教会は、オスマントルコなどのイスラム教勢力が強かった時代に教会を守っていたものの、管理権を認められていないまま、屋根中庭とデア・アル=サルタン修道院を占拠している。
その修道院も崩壊の危険が指摘されている。礼拝堂2カ所と修道士の居室が崩壊すると、そこに住んでいる修道士や多数の観光客を傷つけるだけでなく、聖墳墓教会自体にも影響を及ぼしかねない。
このほど構造を調査した技術者は、「人命の危険」があると述べた。電気関係や排水にも問題があるという。