中国最大規模の政府非公認教会(家の教会)の一つであった秋雨聖約教会(四川省成都)の教会員6人が、オンラインで行われていたイースター礼拝に参加中、公安局員らに自宅から連行されていたことが分かった。迫害監視団体「国際キリスト教コンサーン」(ICC、英語)が明らかにした。
教会員の女性は事態の収拾後、自身がインターネットのテレビ会議サービス「Zoom(ズーム)」を使って礼拝に参加したときの様子をICCに語った。
女性によると、ズームによるオンライン礼拝中、途中で音声がしばらく途切れるときがあったという。当初はインターネット接続の問題だと思っていたが、言い争いをする声が聞こえ、教会員の一人が誰かに「こんなことをするなんて、あなたがたは何様なの」と語るのが聞こえたという。
女性によると、連行されたのは同教会の指導的な立場にあった6人で、そのうちの1人は、自宅の電気も停止されたという。
別の教会員の男性は、現在投獄されている同教会の王怡(ワン・イー)牧師の説教を聞かないよう当局から警告を受け、次のように言われたとICCに語った。
「禁じられている(宗教)活動にこれ以上参加してはならない。(王)牧師の説教に耳を傾けてはならない。もう一度同じことをしたら、われわれはそれを深刻に受け止め、あなたを連行する」
ICCによると、6人は拘束されたものの、すぐに釈放され、自宅の電気を停止されていた教会員も、その日の午後には電気が再開されたという。
同教会は、中国政府が2018年から教会などの礼拝所に対する厳しい規制を始めて以来、批判的な立場を取ってきたことから、当局による嫌がらせの標的にされている。同年末、教会員100人以上と共に拘束された王牧師は昨年12月、「国家政権転覆扇動」や「違法な事業活動」を行ったとして、禁錮9年の刑を宣告された。(関連記事:中国最大規模の「家の教会」牧師に懲役9年 この数年で最も重い判決)
キリスト教の重要な祭典であるイースターに、当局が同教会に追加的な妨害措置を取ることは不思議ではない。しかしICCによると、今回の取り締まりは、教会員の女性が当局による不当な嫌がらせや監視を1年以上にわたって受けてきたことを理由に訴訟を起こした後に行われており、訴訟に対する圧力ともみられる。
ICCの東南アジア地域担当マネージャーであるジーナ・ゴー氏は、中国当局が同教会の解散を狙い、教会員らを監視し、嫌がらせ行為を行っていると指摘する。また、こうした中国の人権状況を踏まえ、国連人権理事会で中国が理事国に選出されることがないよう措置を取るよう求めている。
「中国政府が秋雨聖約教会に対する迫害の手を決して緩めようとしないことは誠に遺憾です」とゴー氏。「中国の国民が新型コロナウイルスのパンデミックで苦しむ中、無情な政権は国民をさらに苦しめることを選びました。人権尊重の欠如を理由に、国連は中国を人権理事会で理事国に選出することを直ちに中止すべきです」と述べている。